GDPはマイナスなのに、税収プラスの摩訶不思議 経済はもはや内需ではない悲しさ:何が起きているのか(2/3 ページ)
財務省の発表によれば、2020年度の税収実績は60.8兆円。過去最高となり、前年比4.1%の増加だったというのだ。コロナ禍で経済が大打撃を受ける中で、税収が伸びることが不思議としか言いようがないのだが、いったい何が起きているのか。
消費税というのは、まんべんなく10%かかるため、累進ではない分、どうしても低所得者のほうの負担が大きい。高額所得者や事業者にとって有利な税金と言ってもいいだろう。また、雇用調整助成金にしても、100%負担となった企業側にとっては何の問題もないが、上限金額があるため、雇用調整させられている人にとってはとんでもない話だ。
けっきょく、飲食や観光業などの、コロナ規制をもろにかぶってしまった中小零細やそこで働く人たちが犠牲になって、大手は収益大幅アップでウハウハということか。
こうなると、国の給付金や雇用調整助成金などの経済支援策などがうまくいったなどという、国の高笑いが聞こえてきそうだが、そんなに単純なことでもなさそうだ。
マクロとしての税収は、けっきょく大企業がいかに儲かるかに焦点を絞るほうがいいということがより明白になったということか。残念ながら、中小(特に小規模)の全体税収のウエートが低すぎるのだろう。
今回のコロナ禍では、飲食業が集中的に押さえつけられた。当初はパチンコ店やら言われたものだが、現在はほぼ飲食に絞られている。
飲食店は、そこら中にある感覚なので、就業人数や売上もそこそこあるようなイメージがあるのだが、実際はどうなのだろう。東京は、世界的に見ても飲食業が多い都市であるのは間違いなさそうだが、東京都の出しているデータで、「経済活動別(産業別)GDP構成費(名目)の比較」というのがある。そのデータを見ると「宿泊・飲食サービス」は、全体の2.2%しかない。しかも飲食関連は小規模事業者(または個人)が多く、黒字幅も大きくない。必然的に総税金額も小さい。これを見る限り、国が力を入れたいと思うのは、製造、卸売・小売、不動産などになるのも理解できる。
だから、税収を国の活性化の大きな指標と考えれば、「宿泊・飲食サービス」については、国はもはや興味がないのかもしれない。
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