マツキヨ・ココカラ不振の裏で、「肉・魚・野菜」の販売にドラッグストア各社が乗り出す納得の理由:小売・流通アナリストの視点(1/6 ページ)
コロナ禍の追い風が吹いたドラッグストア業界の中でも、売り上げ減だったマツキヨ・ココカラ。その背景には何があったのか。また、ドラッグストア各社でなぜ、「生鮮食品」の販売が広がっているのか。
ドラッグストア業界は、コロナ禍における巣ごもり需要の追い風を受けて、順調に売り上げを伸ばした。経済産業省の商業動態統計年報によれば、2020年の市場規模は前年比6.6%増の7兆2840億円となったようだ。その内訳としての商品別売上増減率を見ると、外出機会が減ったことで化粧品周りが大きく落ち込んだものの、マスク、消毒関連などがけん引したヘルスケア用品、食品、雑貨類が大幅に伸びたことが分かる。
まさにコロナ禍という特殊要因の影響が、如実に表れた結果といっていいだろう。出そろいつつある20年度の大手ドラッグストアの決算をみても、軒並み増収増益となっており、減収減益はマツモトキヨシHD、ココカラファインの2社だけである。
こんなことを書くと、マツキヨ、ココカラの両社に何か問題があるのかと思われてしまうかもしれないが、業界最大手グループとなった両社の株価は上昇トレンドにあり、市場での評価は決して悪くない。それでもなぜ、直近の決算で不調だったのか。前述の商業動態統計には都道府県別の販売額統計もあるのだが、これを見ると、追い風を受けたように見えるドラッグストア市場だが、東京・大阪・沖縄には逆風が吹いていたことが分かる。
ご存じの通り、コロナ禍において急速に進んだテレワーク化などにより、オフィス街の昼間人口は大きく減少した。また、インバウンド需要が消失したことも相まって、東京・大阪・沖縄のドラッグストア市場がマイナスになっているようだ。マツキヨ、ココカラといえば、特に東京・大阪といったエリアに多くの店舗を展開する都市型ドラッグストアであることで知られているが、この逆風の影響が両社を直撃したのである。
また、この両社の商品構成がインバウンド需要の高い化粧品に強いというのもあり、ダブルパンチだったということなのだろう。ちなみに、先ほどの表で見ると、次いで伸び悩んだのが北海道、京都という観光に強い地域であり、まさにコロナの影響に大きく左右された年であったことがうかがえる。
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