マツキヨ・ココカラ不振の裏で、「肉・魚・野菜」の販売にドラッグストア各社が乗り出す納得の理由:小売・流通アナリストの視点(2/6 ページ)
コロナ禍の追い風が吹いたドラッグストア業界の中でも、売り上げ減だったマツキヨ・ココカラ。その背景には何があったのか。また、ドラッグストア各社でなぜ、「生鮮食品」の販売が広がっているのか。
業績好調だった多くのドラッグストアの中でも、食品や雑貨類を幅広く品ぞろえする食品強化型がその存在感を増しているといわれている。大都市周辺に住んでいる人にとってドラッグストアといえば、まさにマツキヨ、ココカラのような化粧品、医薬品を中心としたタイプを思い浮かべると思うが、地方では化粧品、医薬品を取り扱っている食品スーパーといったタイプのドラッグストアが増えつつあるのだ。
コスモス薬品(福岡市)、クスリのアオキ(石川県白山市)ゲンキー(福井県坂井市)といった上場企業をはじめ、非上場企業でも売り上げが1000億円を超える企業としては、ドラッグストアモリ(福岡県朝倉市)や、ツルハグループ傘下の杏林堂(浜松市)があり、サンドラッググループ傘下のダイレックス(佐賀県佐賀市)などもこのジャンルといっていいだろう。
都市型の代表格マツキヨ、ココカラと食品強化型のコスモス薬品、ゲンキーの売上構成を比較すると一目瞭然だが、都市型では1割前後の食品売上構成比が、食品強化型では6割前後となっており、同じ業態とは思えないほどに異なっている。ただ、地方においてはこの食品強化型が、10年以上も前からじわじわと勢力拡大してきているのである。
もともと、ドラッグストアという業態を世に広めたのはマツキヨであり、ヘルス&ビューティー(医薬品+化粧品)というドラッグストアを首都圏の駅前に展開して、国内最大手の地位を築いてきた。ざっくり端折っていうと、地方ではこのスタイルを基に、アレンジしたドラッグストアが各地で勃興した。
しかし、地方には大都市部のように人通りのある駅前や繁華街があまりないため、クルマの通るロードサイド沿いに店舗を出店するしかなかった。
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