マツキヨ・ココカラ不振の裏で、「肉・魚・野菜」の販売にドラッグストア各社が乗り出す納得の理由:小売・流通アナリストの視点(3/6 ページ)
コロナ禍の追い風が吹いたドラッグストア業界の中でも、売り上げ減だったマツキヨ・ココカラ。その背景には何があったのか。また、ドラッグストア各社でなぜ、「生鮮食品」の販売が広がっているのか。
ロードサイドを通りすぎるクルマを停めて、店舗に入ってもらうには、消費者に対して何らかのメリット提供が必要だった。地方のドラッグストアの中には購買頻度の高い食品のディスカウント販売を行うことによって、女性客の来店動機を作ろうとする試みがあり、それは見事にうまくいった。
食品強化型ドラッグストアは、食品、日用消耗品などのディスカウント販売によって客の足を止めさせ、ついでにメイン商材である医薬品や化粧品を買ってもらうという手法を生み出し、地方の女性客の支持を得ることに成功したのである。
次の図は、食品強化型ドラッグストアの代表格であるコスモス薬品の商品別の粗利益率と販管費率(共に分母は売り上げ)を比べたものだが、食品に関してはデータ上ほぼ利益はなく、ついで買いの医薬品、化粧品で稼いでいることが分かる。まさに食品を“まき餌”として集客し、医薬品、化粧品といった収益商材を買ってもらうビジネスモデルを確立しているといっていいだろう。
さらにいえば、食品強化型ドラッグストアの食品まき餌作戦がうまくいったのは、ただ食品の低価格が支持されたという理由だけではない。集客商材として食品を強化したことによって、「生活必需品ワンストップ」という消費者ニーズを結果として実現していたからだ。
ワンストップショッピングとは、1カ所の店でなるべく欲しいもの全てを買いそろえられた方が便利である、という買い物に関するニーズに基づいた概念だ。この手のドラッグストアは、食品、飲料、酒類、キッチン・バスといった日用消耗品、さらにはペットフード、化粧品、医薬品などがワンフロアにそろっている。日々の消耗品補充のための買物が全て済んでしまう上に、価格も安いのである。
というと、「そんなの大型総合スーパーと何が違うの?」と思う人もいるだろうが、ちょっと違う。
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