マツキヨ・ココカラ不振の裏で、「肉・魚・野菜」の販売にドラッグストア各社が乗り出す納得の理由:小売・流通アナリストの視点(5/6 ページ)
コロナ禍の追い風が吹いたドラッグストア業界の中でも、売り上げ減だったマツキヨ・ココカラ。その背景には何があったのか。また、ドラッグストア各社でなぜ、「生鮮食品」の販売が広がっているのか。
自社でプロセスセンターを構えるゲンキー
この課題を正面突破しようとしているドラッグストアが、福井出身のゲンキーだ。
同社は、生鮮の流通加工を担うプロセスセンターをドラッグストアとして初めて稼働させた。生鮮流通加工を集中化して地域ごとに配送することで、バックヤード作業によるコストアップを排除し、生鮮を提供する手法にチャレンジし始めている。
競合ドラッグストアでも、生鮮売場を備えた店舗を展開する企業はあるが、あくまでコンセッショナリー(=生鮮テナント)方式であり、自社で運営するリスクを内包するのは、ゲンキーが初めてだ。20年6月期にこうした取り組みをスタートしてから、売り上げは順調に伸びており、直近の21年6月期第3四半期決算でも、対前年比売り上げは20%増、営業利益も90%増という実績を計上しており、コロナ禍の追い風参考記録だとしても、成果を出していることは間違いない。
アフターコロナにおいて、このような好調な業績が続くかどうかは分からないとはいえ、こうしたプロセスセンター投資を伴ったゲンキーの積極的なチャレンジは、完全な生活必需品ワンストップを完全実現させる可能性があり、大いに注目すべき取り組みだといっていいだろう。
「ヤバい」地域に殴り込むクスリのアオキ
一方、ゲンキーとは違う手法で、生鮮取り扱いを強化しようとするのが、クスリのアオキだ。同社は生鮮の取り扱いノウハウを持った食品スーパーを買収して、生鮮を品ぞろえしたドラッグストアに転換していくという戦略を実施している。
同社は従来、生鮮をコンセッショナリー方式で導入した食品強化型ドラッグストアを展開して急速な成長を遂げて、今や大手の一角にのし上がったことで知られる。ただ、その勢力圏が北陸、中部へと拡大して、今や北関東にまで及ぶようになって、若干その勢いが鈍っていることが明らかになっている。
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