加熱するRTD市場でどう対抗? オリオンビールのチューハイが関東に本格進出 こだわるのは“沖縄らしさ”:県内での認知度は70%(1/3 ページ)
オリオンビールが展開するチューハイブランド「WATTA」が関東に本格進出する。19年に同社初のチューハイブランドとして誕生したWATTA、沖縄県内では70%以上の認知度を誇る。
沖縄県豊見城(とみぐすく)市に本社を構えるオリオンビール。1957年に創業した沖縄を代表する企業の一つだ。同社が今、主力の生ビール「オリオン ザ・ドラフト」と同様に力を入れているのが、チューハイブランド「WATTA(ワッタ)」だ。
2019年5月に発売したWATTAは、同社初の缶チューハイ。ネーミングは沖縄の言葉で「私たちの」を意味する「ワッタ―」と、割り物の「割った」をかけた。素材には沖縄県産を使用し「沖縄らしさ」を強調した商品として訴求している。
20年4月には発売時から展開していた高アルコール商品の販売を終了。同年5月にリニューアルを行いパッケージを一新し、数量限定発売時に人気のあった「パッションフルーツ」「雪塩シークヮーサー」を通年商品としてラインアップした。
また、地元のファストフードチェーン「エイアンドダブリュ(A&W)」とコラボした「エンダーオレンジ」や沖縄明治乳業が展開する乳酸菌飲料「ヨーゴ」とのコラボ商品「ヨーゴサワー」など、2カ月に1度のペースで数量限定品を発売し、認知度を高めていった。
その結果、20年5月〜21年4月の売り上げは対前年で168%、ブランド誕生から約2年で沖縄県内の認知度は約70%を獲得した。リピート率は6割を超え固定ファンを獲得することに成功。同社によると他ブランドと比較しても遜色のない数字だという。
そんな沖縄のチューハイが関東に本格的に進出する。同社は、19年の経営陣刷新以降を「第2の創業」と位置付け、ECサイトの刷新や新商品の首都圏展開など、県外への販路拡大に力を入れていた。県外の小売店向けには、提携社であるアサヒビールを経由した販路が主だったが、20年秋からは東京支店に小売店への営業を行う部署を新設。着実に準備を進めていた。
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