加熱するRTD市場でどう対抗? オリオンビールのチューハイが関東に本格進出 こだわるのは“沖縄らしさ”:県内での認知度は70%(2/3 ページ)
オリオンビールが展開するチューハイブランド「WATTA」が関東に本格進出する。19年に同社初のチューハイブランドとして誕生したWATTA、沖縄県内では70%以上の認知度を誇る。
沖縄の特殊性を生かし関東で勝負
そもそも、WATTAがターゲットと位置付けていたのは“観光客を含めた”沖縄県民だ。県産の素材や地元企業とのコラボを行い、県民に寄り添った商品として訴求しつつ、沖縄の魅力を観光客へアピールする狙いがあった。しかし、発売から1年を待たずして襲ったのが新型コロナウイルスの感染拡大だ。
沖縄を訪れる観光客は激減。沖縄県内での認知拡大には成功したものの、本来取り込めるはずだった県外ユーザーへの接触機会が失われていた。
同社マーケティング本部の原國秀年氏は「沖縄の特殊性を生かしてマーケットが大きい関東で勝負をする」と意気込みを語る。「進出は無謀なんじゃないかという話もあるが、『沖縄フェア』などが各地で行われていて、引っ掛かりを作りやすい。またシークァーサー味の商品は各社が出しているが“オリオンビールが展開する”WATTAのシークワーサーといえば、背景に沖縄が見えて分かりやすいといった声もいただいている」
関東進出で期待を込めるフレーバーが、6月から販売している「natura WATTA(ナチュラ ワッタ)レモンサワー」だ。
瀬戸内産とシチリア産のレモン果汁のほか、一般的なレモンより酸味が少なく糖度が高い沖縄県産のマイヤーレモンエキスを使用した。防腐剤やワックスを使用していないレモンを厳選し、香料や人工甘味料、人工着色料も無添加とした点が特徴だ。
サントリースピリッツが実施した調査によると、20年のRTD市場(缶チューハイやハイボール缶など)は対前年で112%と過去最大の規模となった。21年も対前年112%とさらなる拡大が見込まれている。
その市場をけん引するのが、レモンフレーバーの商品だ。20年のレモンRTD市場は対前年で133%と、2年連続で対前年130%を超える成長を記録。各社がレモンサワーの新商品を投入し、市場はさらに活性化している。
マーケティング本部の福井マリア氏は、同商品について「自信作だ」と胸を張る。「レモンサワーは、全国展開していく上で外せないフレーバーだと感じていた。県産の素材を使って沖縄県民にもその魅力を知ってもらいつつ、全国規模で求められているものを追求した商品だ」
関連記事
- なぜオリオンビールはアルコール度数「9%」を止めて「2%」の商品を首都圏でも発売したのか
キリン、アサヒ、サントリー、サッポロ。国内ビール市場トップ4社だ。では5位はどこだろう。それがオリオンビールだ。若者のアルコール離れが叫ばれる中、国内シェア約1%の地方発ビール会社は新たな飲酒文化の創造に向けた挑戦を続けている。 - オリオン、ビールを持ち運べるボトル「グラウラー」発売 持参でビールを無料提供
オリオンビールが、ビールや炭酸飲料にも対応したマイボトル「グラウラー」を発売した。 - 価格は「そのまま」なのに、なぜ沖縄のブルーシールは「容量20%増」に踏み切ったのか
沖縄のアイスクリーム専門店「ブルーシールアイスクリーム」を展開するフォーモスト・ブルーシールが、店頭販売向けのカップアイスをリニューアル。内容量を20%増量し、発売初日で「例年の1カ月分」の売り上げた。コロナ禍で沖縄を訪れる観光客数が激減する中、なぜ増量に踏み切ったのか――。山本隆二社長に聞く。 - 沖縄の長年の課題「飲酒運転撲滅」と「運転代行業の適正化」 劇的に改善しそうな新サービスとは
Alpaca.Lab(アルパカラボ)が琉球大学と連携して開発した運転代行配車アプリ「AIRCLE(エアクル)」が、2020年8月のリリースから現在までにダウンロード数が1万弱に迫るなど、コロナ禍においても着実に利用者を増やしている。 - バブルの名残 温泉街の「大型施設」が廃墟化 鬼怒川と草津の違いと「大江戸温泉物語」の戦略
コロナ禍がもたらす温泉街への影響は甚大だが、「温泉の魅力」として考えさせられるのが“街づくり”という点だ。筆者は「施設そのもので集客できる強い宿は例外的で、温泉地の魅力自体が集客を左右する」と指摘する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.