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日本の若者が留学せずに「内向きになっている」のは本当か:世界を読み解くニュース・サロン(4/5 ページ)
新型コロナによって留学生の数が減っている。海外渡航が難しいのでこれは仕方がないが、数年前から「いまの日本の若者は内向き志向なので、留学に興味がない」といった論調のニュースがある。これは本当のなのか。ちょっと調べたところ……。
留学生を積極的に採用
企業も留学経験者に価値を見出している。例えば、米国のグローバル企業であるグーグルやマイクロソフトなどは、留学生は母国語以外の言葉を理解し、グローバルな視点で世界のビジネスを見る感覚があるとして、留学生を積極的に雇っているという。
日本でも、文部科学省の調査によれば、「企業採用担当の63.6%が留学経験者を今後積極的に採用していきたい」としている。
グローバルな感覚という意味では、こんな話もある。筆者がシンガポールで暮らしていたときに、現地の知り合いはこのように言っていた。「英語を母国語とする人でも、海外に頻繁に旅行したり、一定期間海外で暮らしていたり、こうした経験がある人は、英語が母国語でない人の発音――つまり、訛(なま)りのある英語でもきちんと聞き取ってくれる」と。
逆に、この知り合いがかつて米国の田舎の大学に留学した当初は、シンガポール訛りの発音がきつかったので、英語をきちんと理解してもらえないことが多かったという。その知り合い曰く、「そこの地域では、海外留学や海外赴任などの経験者が少なかったからではないか」と指摘していた。
この意見に、筆者も同意する部分が多い。グローバル経験の豊かな人ほど、訛りのある英語を聞き慣れている。そうなると、世界中でコミュニケーションが円滑になるだろう。これは英語だけではなく、他の言語でも同じことが言えるのではないだろうか。
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