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プロダクトアウトの罠にハマった「象印」のリカバリー戦略家電メーカー進化論(2/8 ページ)

電気炊飯器市場でトップシェアを誇る象印マホービンは、2018年に100周年を迎えた。高級炊飯器のヒットとインバウンド需要に押され、10年ごろから右肩上がりで売り上げを伸ばしたが、16年をピークに減少。そこへコロナ禍が発生した。この長引く苦境をどう乗り越えるのか。取締役の宇和政男氏に話を聞いた。

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それまでの常識を覆した、10年発売の「極め羽釜」

 象印の苦戦にはいくつかの原因がある。外的要因として大きいのはインバウンド需要の変化だ。そしてもう一つは主力である調理家電、主に炊飯器の伸び悩みがある。調理家電が振るわない原因として考えられるのが、消費者ニーズと商品のミスマッチだという。

 「高級炊飯器市場が広がりを見せた10年以上前のことです。当社は、10年に『極め羽釜』という炊飯ジャーを市場へ投入しました。それまでの当社商品は、美味しさだけでなく、使い勝手や価格など、商品のトータルバランスを大事にしていました。その結果、お客様の満足度があまり高くないという結果になってしまったのです。極め羽釜はそういった枠を取り払って、とにかく美味しいご飯の炊ける炊飯ジャーを作ろうと開発しました」(宇和氏)


10年に発売した「圧力IH炊飯ジャー『極め炊き』NP-SA10」。内釜に極め羽釜を採用。広く浅い内釜のため、本体も大きくなった

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