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プロダクトアウトの罠にハマった「象印」のリカバリー戦略家電メーカー進化論(6/8 ページ)

電気炊飯器市場でトップシェアを誇る象印マホービンは、2018年に100周年を迎えた。高級炊飯器のヒットとインバウンド需要に押され、10年ごろから右肩上がりで売り上げを伸ばしたが、16年をピークに減少。そこへコロナ禍が発生した。この長引く苦境をどう乗り越えるのか。取締役の宇和政男氏に話を聞いた。

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ECサイトでは、レトロな花柄製品がバズワード入り

 また消費者との新しい関係性を構築する目的で始めた、新しい取り組みの1つが、20年11月に開設した直販ECサイト『象印ダイレクト』だ。既存の商品のほか、象印ファンに向けた限定商品を販売する。

 第1弾の限定商品として20年11月に発売されたのが、60年代後半に流行ったレトロな「花柄」シリーズをデザインしたステンレスマグとガラス魔法瓶だ。レトロな可愛らしさと、最新のステンレスマグの機能性を兼ね備えたこの取り組みは、見事にヒットする。


「花柄」シリーズ ステンレスマグ SM-JF48DS(左より花化粧、フローラ、ワインフラワー)

 しかも7月に入り、一般消費者が花柄シリーズのステンレスボトルについてつぶやいところ、その発言が2万以上のリツイートを集め、バズワード入りした。その結果、たった1日でそれまで1カ月の平均受注数を突破するほどの注文が入ったという。

 「製品を喜んでもらえたのは良かったです。ただ今回の出来事は、当社の広報やマーケティング部が積極的に仕掛けていない自然発生ですので、悲喜こもごもでもあります。今後は、ECサイトをさらに強化していきたいですね」(宇和氏)

 現在、第2弾の限定商品がスタートしており、アウトドア好きに人気のイラストレーター・ジェリー鵜飼氏とコラボレーションしたアーティスト柄ボトルが『象印ダイレクト』限定で購入できる。

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