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なぜハイブリッド車のエンジン始動はブルルンと揺れないのか高根英幸 「クルマのミライ」(3/5 ページ)

純エンジン車であれば、エンジン始動時にはキュルルルとセルモーターが回る音の後にブルンッとエンジンが目覚める燃焼音と共に身震いのような振動が伝わってくるものだが、ハイブリッド車にはそれがない。それはなぜなのか?

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 ただしモーターだけの加速から、エンジンも使った加速に移行する際にショックなどが発生しないのは、それほど理由は単純ではない。これはハイブリッドシステムによって動力伝達の仕組みが異なることも理由だ。

 エンジンと変速機の間にモーターを組み込んだハイブリッドは、多板クラッチによりエンジンの動力を滑らかに伝え始めることで衝撃を解消している。

 トヨタのハイブリッドシステムTHSは、クラッチ機構を使わないエンジンとモーター、遊星歯車機構だけで実現するシステムだが、エンジン始動前から車速は走行用モーターのMG2が管理する。発電用モーターのMG1はエンジンを始動させるために回転して、エンジンが目覚めてからはエンジン回転と車速がつり合うようにMG1が自分の回転数を調整するのだ。その後加減速の状況に合わせてMG1が減速比を決め、エンジンは回転数を上下させるのである。電気的CVTと呼ばれる機構は、エンジンスターターでもあるMG1が回転数を調整することで実現しているのだ。


現行プリウスに採用されているTHS IIの仕組み。エンジンからの出力はプラネタリーキャリアに伝わり、MG1が回すサンギアの回転数によってリングギアの回転数が決まる。MG2の力は減速機を通じてファイナルギアへ伝わり、タイヤを直接回す力になる。初期のTHS、THSIIはMG1とMG2が中空軸によって同軸上にレイアウトされていたが、仕組み自体は現行プリウスと変わらない

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