政府が送った高級ウイスキーはどこに? 企業も“わいろ”を渡すのは止めよう:世界を読み解くニュース・サロン(1/5 ページ)
日本政府が米国のポンペオ前国務長官に贈った高級ウイスキーの所在が分からなくなった――。どこにいったのかという問題よりも、そもそも贈り物をする必要はあるのだろうか。コンプライスが重視されている昨今、こうした行為は「わいろ」と受け取られて……。
先日、米国で奇妙なニュースが報じられた。
米ニュース専門局CNNは8月6日、「日本政府が米国のマイク・ポンペオ前国務長官に贈った高級ウイスキーの所在が分からなくなり、国務省が行方を捜している」などと伝えた。
記事によれば、日本政府がポンペオに贈った5800ドル(約63万円)相当のウイスキーがどこかに消えてしまい、ポンペオも「知らない」と答えているという。上司だったドナルド・トランプ前大統領とは違って、ポンペオはお酒がいける口らしいが、高級ウイスキーを自宅に持ち帰って飲んでしまった……ということではなさそうだ。なぜなら、ポンペオは「ウイスキーを受け取ったことはない」と主張しているからだ。
受け取ったことを覚えていないとしたら日本政府に対して失礼な話であるが、そもそも、こんな高価なギフトを贈る必要はあるのだろうか。どこにいったのか分からなくなるような扱いであれば、必要ないのではないか。
実は、筆者、自称「贈呈品ウォッチャー」である。国が外交相手にどんなギフトを送ってきたのか、興味をもってウォッチしてきた。そして、今回の件を通じて、改めて「贈り物は止めたほうがいい」と思っている。
「外交の贈り物」と聞けば、両国の交流に必要なことと受け止めている人も多いかもしれないが、何のことはない、いわゆる「わいろ」に近いのである。では、民間企業ではどうなっているのか。「わいろ」と思われるようはモノは贈らない、受け取らない――といった風潮が広がりつつあるのだ。
日本では手土産の文化があるので、仲間内で送ったり、受け取ったりするのはいいと思うが、利害が絡む現場になれば、それは贈賄・収賄になりかねない。ビジネスの現場でそうした慣習を禁止している会社も増えているので、外交も同じように止めてみてはどうだろうか。
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