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東急ステイ、ハンズや貸し会議室と連携したホテル開業へ 利便性訴求でコロナ禍を乗りきる:ちょい飲みやテレワークに(3/3 ページ)
東急リゾーツ&ステイ(東京都渋谷区)が8月30日に「東急ステイ新宿イーストサイド」(東京都新宿区)をオープンする。
コロナ禍で需要が高まった商品を配置
先述したように、東急ステイではこれまで中長期滞在者向けに、客室に洗濯乾燥機を設置したり、ミニキッチンを導入したりと「快適性」を重視してきた。同グループでさまざまな商品を取り扱う東急ステイと協業することで、多くの人に同ホテルのこだわりを訴求したい思惑があるという。
コンセプトルームの検討を開始したのは約2年前。その間に新型コロナウイルス感染拡大によるインバウンド需要の消滅や、外出自粛などホテルや小売りを取り巻く環境は大幅に変化した。一方で「宅飲み」や「テレワーク」「巣ごもり需要」といった新たな需要も誕生している。
コンセプトルームに設置している東急ステイの商品は、いずれもコロナ禍で需要が高まり店頭などでの売り上げが堅調に推移している商品だ。“気になっていたけど気軽に変えない”といったイスやシャワーヘッドなどを「ステイ」の客室で利用し「ハンズ」で購入する――。一連の流れで需要を取り込みたい考えだ。
コンセプトルームの内装にもこだわりがみられる。壁面には、東急ハンズの売り場を連想させる有孔(ゆうこう)ボードを配し、備品を設置した。また、木製の2段ベッドは、客室の高さを有効的に使い広さを確保するだけではなく、「東急ハンズ」のロゴをあしらい、遊び心を表現した。
コラボ相手の東急ハンズでは今後、同ホテルと近隣の店舗を連動させた施策の導入を検討している。長期滞在からテレワーク、会議に買い物とグループの力を集結した同ホテル。新しい形として受け入れられるだろうか。
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