マネフォ、SaaS管理サービスに参入 大量のSaaSを一元管理(2/2 ページ)
マネーフォワードは8月27日、SaaSの一元管理サービスに参入すると発表した。新会社「マネーフォワード i」を設立し、年内に正式版の提供を目指す。サービス名は「マネーフォワードIT管理クラウド」。100以上のSaaSと連携し、社内での利用状況を可視化する。
金融で培ったアカウントアグリゲーションを生かす
マネーフォワードIT管理クラウドの開発に当たっては、金融分野で培ってきたアカウントアグリゲーションの経験を生かした。マネーフォワードの各サービスは、複数の金融機関からデータを取得して統合管理する機能を共通基盤としており、ここにSaaSを付け加えるイメージだ。
これを生かして、サービス連携の多さで他社との差別化を目指す。同様の管理サービスは、メタップスも「メタップスクラウド」として提供中(記事参照)。ユーザーごとのSaaSのアカウント保有状況だけでなく、コスト分析や利用状況の分析なども用意している。マネーフォワードITクラウドでは、現時点で67のSaaSと連携しており、正式版を提供する年内には100以上に対応する計画だ。
開発の方向性としては、可視化を重視する。「まずは可視化で見通しをよくする。次の段階として、IDの付与や削除を自動化するところに取り組む。シングルサインオンについても将来的に検討していく」と、マネーフォワード iの今井義人社長は話す。
メタップスクラウドは、シングルサインオン機能も備えているが、マネーフォワードIT管理クラウドでは、シングルサインオンサービス(IDaaS)とは補完的な関係を目指す。「IDaaSを使っていても、20〜30%が対応できる限界。残りをIT管理クラウドで行うなど、補完関係にある」(今井氏)
既存のマネーフォワードサービスとのシナジーも期待できる。「人事情報や、会計の情報は、このサービスにとって重要。各SaaSにいくら払っているかは、会計やクレカ情報から取ってこれる。これらのサービスとの連携に取り組んでいく」(今井氏)
マネーフォワードのバックオフィス向けサービスは、総務、人事、経理などをこれまで対象としてきた。マネーフォワードIT管理クラウドは、企業の情報システム部門が対象であり、マネーフォワードとしては新たな顧客層へのチャレンジとなる。
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