人助けランキングで日本は最下位! 「他人を信用しない」と「低賃金」の関係:“いま”が分かるビジネス塾(1/3 ページ)
人助けに関するランキングで、日本が世界最下位に。ネット上では「日本人は冷たい」「欧米による勝手なランキングだ」といった声が出ているが、筆者の加谷氏は「結果について過剰反応するより、冷静に受け止めてうまく活用したほうがよい」という。どういうことかというと……。
人助けに関する国際ランキングで、日本が世界最下位になっている。ネットでは「日本人は冷たい」「欧米による勝手なランキングだ」と、いつものように感情ムキ出しの議論となっているが、こうしたランキングは、各国のビジネスカルチャーとも密接に関係している。結果について過剰反応するより、冷静に受け止めてうまく活用したほうがよい。
ただのランキングと思えるかどうか
このランキングは、英国のチャリティーズ・エイド・ファンデーションという団体が毎年、行っているもので、国ごとに「見知らぬ人を助けたか」「寄付をしたか」「ボランティアの時間を持ったか」という3項目でアンケートを実施し、その結果をまとめたものである。
この調査は2009年から行われており、19年に発表された10年間の総合ランキングでは日本は126カ国中107位、最新の21年のランキングでは何と114カ国中最下位となっている。
かつて、国際比較調査を実施するのは簡単なことではなかった。近年はネットの普及で比較調査が容易になり、自国の立ち位置がよく見えるようになっている。
日本人はどういうわけかランキングが大好きで、データが発表されるたびに一喜一憂している(ランキングに対して声高に批判しているのも、ランキングを気にしている証拠だ)。
ランキングを気にするのは悪いことではないが、ただ感情的になっているだけでは意味がない。しょせん、人間の評価など薄っぺらいものである。仕事もそうだが、メキメキ成果を上げるビジネスパーソンは、周囲と自身を比較するのが上手であり、成果を出している人と自分を比較し、何が足りないのか冷静に分析している。そしてツベコベ言わず、足りない部分を純粋に補う努力をするので、あっという間に成果が上がる。
企業経営でもヨコの比較は非常に大事で(ベンチマーキングと呼ばれる)、複数項目でライバル企業との比較を行い、点数が少ないところを重点的に対処するのは、有能な経営者にとって常識である。経営者といっても全員がソフトバンクグループの孫正義会長兼社長のような天才ではないので、一定の成果を上げている経営者の多くが、ベンチマーキングをうまく活用している。
つまり、こうしたランキングをツールとしてうまく使いこなせるかどうかで、国全体としても成果が変わってくるのだ。ランキングの結果について「恣意(しい)的だ」と声高に批判している人をよく見かけるが、仮に評価項目が恣意的であっても、同じ基準で各国を比較しているわけだから、何らかの特徴が出てくるという点では何も変わらない。その評価項目について感情的になるよりも、その結果が何を示しているのか分析し、応用したほうが得策である。
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