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「ラーメンの鬼」故・佐野実の「支那そばや」が東京駅に出店 切り盛りする妻が経営で守り抜いたものとは東京ラーメンストリートの舞台裏(5/5 ページ)

「ラーメンの鬼」という異名を持つ故・佐野実さんが創業した「支那そばや」が、東京ラーメンストリートに11月4日まで出店している。出店の経緯と狙いは? 経営を引き継いだ妻の佐野しおりさんに話を聞いた。

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佐野実はラーメンに生涯をささげた

――佐野実さんが亡くなる直前のエピソードに、最後に食べたのがラーメンだったという話を聞きました。

 佐野が亡くなったのが14年4月11日で、亡くなる一週間前の4月4日が佐野の63歳の誕生日でした。すると「俺、誕生日だからラーメン食べられるんだろうな」って佐野が言い出すんですよ。その時には既に水も一日20ccしか飲めない状況だったので、ラーメンなんてとてもじゃないけど無理でしょと思いましたね。

 30分だけという時間で区切って全国のラーメン店主達が集まってくれ、誕生日をお祝いしていたのですが、私が「ラーメンは無理だよ」って言ったら、「じゃーいいよ!!全員帰ってもらえ!!」って言い出すんです。それで私も心に決めて、医師の先生に秘密でラーメンを食べさせることにしました。ラーメンを食べたことによる誤嚥の可能性もあったので、これで死んでもしょうがないなという覚悟の上です。

 ただ、病人なのでお店で出している物より薄めにして出したのですが、「いつもこんなラーメンを店で出しているのか!?」「薄いよ」と佐野が怒るんです。2カ月近く何も食べてないのに、ラーメンの味が分かるんだってその時びっくりしましたね。佐野がどれだけラーメンに生涯をささげたかをあらためて感じました。

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