大量出店の「やっぱりステーキ」が、今後も“独走”を続けられそうな理由:長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/6 ページ)
低価格ステーキチェーンの「やっぱりステーキ」が順調に店舗数を伸ばしている。他の低価格ステーキチェーンが伸びているわけではないのに、なぜ「やっぱり」は好調なのか?
店舗を着実に増やしていく
沖縄県発祥のやっぱりステーキは2015年、那覇市中心部に1号店の「カクテルプラザ店」をオープン。カウンター6席だけの小さな店舗だったが、「ステーキ界の吉野家」を目指すという義元社長の志で、200グラムのステーキを1000円で売る、破格の価格で大きな反響を呼んだ。たった1年で県内に12店を展開。FC店も始めて、注目を集めた。
ラーメン店によくある、食券の自動販売機を採用。肉を半生焼で顧客に提供して、あとはアツアツの富士山溶岩プレートで、お好みの焼き具合にセルフで仕上げてもらう。サラダバーの設置など、セルフサービスを随所に導入してコストを削減。一方で、50%を超える原価率をキープする肉質へのこだわりにより、顧客から高評価を得た。高い回転率で利益を生み出す仕組みを構築している。
肉をよりおいしく食べるためのソースなど調味料が多数テーブルに並べられ、飽きが来ないように工夫されている。
13年に東京・銀座にオープンしたいきなり!ステーキが全国に破竹の勢いで出店していた頃であり、やっぱりステーキは、ポスト「いきなり!ステーキ」を狙う新鋭として注目を集めた。
17年には大分市に、県外1号店を出店。19年には、大阪市内の繁華街、京橋に出店。さらには20年の東京・吉祥寺への出店で、ブレークを果たした。
同社では「背伸びして無理に大量出店するつもりはない。物件のポテンシャルを見て、年間1億円売れる店を着実に増やしたい」(同社・広報)としており、勢いに任せたむちゃな出店をセーブする意向だ。
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