米国株取り引きは日本株に続く柱になる 松井証券、和里田聰社長に聞く:金融ディスラプション(1/4 ページ)
日本初のネット専業証券である松井証券。カリスマ社長である松井道夫氏のあとを受けて2020年6月に社長に就任したのが、和里田聰(わりたあきら)社長だ。激動の証券業界において、松井証券の進む方向とは?
日本初のネット専業証券である松井証券。カリスマ社長である松井道夫氏のあとを受けて2020年6月に社長に就任したのが、和里田聰(わりたあきら)社長だ。激動の証券業界において、松井証券の進む方向とは?
ーー証券業界は激動のさなかにある。SBIが仕掛けた手数料無料化の流れ、ポイント経済圏を活用した楽天の躍進、暗号資産との連携、そして新生銀行グループとの連携を進めるマネックスなど。またIFAの増加や金融サービス仲介業も、業界構造を変化させる可能性がある。現在の証券業界の状況についてどう見ているか。
和里田氏 ネット証券ができたのが1998年。この20年で、オンライン証券が台頭し、ブローキングビジネスそのものがデジタルにシフトした。しかし、単純に使うチャネルが変わってきただけで、個人が保有する株式、投信などリスク性金融商品残高の金融資産全体に占める割合には変化が見られていない。
「貯蓄から投資へ」と言われ続け、老後の生活に備えるには現役時代から準備していかなくてはならない。しかし、ネット証券が出てきただけでは、そこは変えられていないのが現実だ。
金融商品はお客さまと業者の間の情報格差が大きい。金融商品は買った時点では便益が分からない。対面証券の時代は、「これを買えばいい」という営業マンの推奨でやってきた。ネット証券の登場によって、個人投資家へ提供する情報量が増え、透明性も高まってきたが、投資の成功体験は提供できていなかった。ネット証券が解決できたことは、インターネット上で取り引きできる環境を提供し利便性を向上させ、機関投資家との取引上の格差をなくしたこと。ようやく個人投資家が機関投資家と同じ土俵で取り引きできる土台が整ったので、これからはネット証券、対面証券関係なく、投資の成功体験を提供していかなければならない。
関連記事
- 松井証券、米国株取引を開始 22年2月
松井証券は2022年2月に、米国株取引に対応することを明らかにした。7月27日に公開した決算説明資料にて触れた。昨今、米国市場の好調にともない、特に若年層で米国株への意欲が高まっている。 - 松井証券も25歳以下の株式売買手数料を無料化 信用取引も対象
松井証券は5月6日から、未成年を含む25歳以下の株式売買手数料を無料化する。現物取引だけでなく信用取引も対象。従来は、1日あたり50万円までの取り引きに限り無料だった。 - 楽天証券、月間の投信積立額が350億円超に ”楽天投資エコシステム”が効果
楽天証券の投資信託積立額が月間で350億円を超えてきた。約110万人が積み立てを設定しており、前年から約2倍に。投資信託の残高は前年同期から53.3%増えて、1.5兆円を超えた。利用者の心を捉えたのは、楽天ポイントを活用した"投資エコシステム”だ。 - au、MUFGグループとのシナジーをどう生かす? auカブコム証券、石月貴史新社長
ネット証券大手のauカブコム証券が、17年ぶりに社長交代した。新社長はKDDI傘下のauフィナンシャルホールディングス専務も務める石月貴史氏だ。 - 50万口座超 SBIネオモバイル社長、「総合証券化は一切目指さない。徹底して初心者、若年層向け」
投資初心者をターゲットとしたスマホ証券の勢いが強まっている。中でも、いち早く50万口座に到達したSBIネオモバイル証券の社長に、その狙いと、今後の方針について聞いた。 - 全てのビジネスパーソンが、東証の“完璧すぎる記者会見”を見るべき理由
10月1日に、東京証券取引所でシステム障害が発生した。しかし、システム障害当日の夜に実施された記者会見は、「完璧」といっても過言ではない内容であり、ビジネスパーソンにとって見習いたい点が数多くみられた。あの会見には、東証のどんな優れたポイントが隠れていたのだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.