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コロナ禍だけのせいじゃない? 大ピンチの百貨店で「大家」化が進んでいる納得のワケ小売・流通アナリストの視点(4/4 ページ)

コロナ禍によるさまざまな制約を受け逆境に立つ百貨店。だが、過去数年を見ると、実はコロナ禍に関係なくピンチに陥っていたことが分かる。そんな中、各百貨店は「大家」化を進めている。その理由とは。

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消費者目線を失った百貨店よ、再起せよ

 百貨店は、都市部の人流の中心という立地を背景に、地域で最もいい商品が集まる商業施設という信頼を集め、その存在感を保ってきた。しかし、その信頼にあぐらをかいて、仕入リスクを負わないビジネスモデルを長く続けた結果、百貨店は消費者目線が希薄化したともいわれている。斬新な商品を提案できる企業より、場所代をより多く払う企業と取引するというのは、顧客志向とはいえまい。


出所:ゲッティイメージズ

 そこに、コロナにより人流の抑制という制約を背負った百貨店はかつてない危機に追い込まれている。しかし、追い詰められたからこそ、生き残るために自己変革せざるを得ないはずだ。今回紹介した、D2Cのショールーム化というのはあくまで一つの選択肢だが、こうした常識にとらわれない発想は、百貨店各社の社内水面下に企画として眠っているはずだ。いまこそ百貨店の企業としての生存本能が発揮されることに期待したい。

著者プロフィール

中井彰人(なかい あきひと)

メガバンク調査部門の流通アナリストとして12年、現在は中小企業診断士として独立。地域流通「愛」を貫き、全国各地への出張の日々を経て、モータリゼーションと業態盛衰の関連性に注目した独自の流通理論に到達。


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