「成果が見えづらい……」 カスタマーサクセス管理の失敗から学ぶ“キャリアパス”の設計法:“顧客との付き合い方”のデザイン法(4/4 ページ)
カスタマーサクセスの需要が高まっている。チームの人数が増えると、マネジメントやキャリアパスの設計に問題が生じることが多い。カスタマーサクセスの管理でよくある失敗例なども踏まえながら、スキルの定義やキャリアパスの設計をどのようにすべきか、考える。
顧客理解を軸としてキャリアを作る
カスタマーサクセスチームの外にキャリアを求める際は、顧客理解を軸にオペレーションスキルの関連も踏まえながら相性の良い職種を検討するとよいだろう。
カスタマーサクセスチームで得られる顧客理解は非常に貴重なので、ここをしっかり押さえられていれば、チーム外での活躍の可能性は無限大だ。これはカスタマーサクセスチーム内にいる時にはなかなか気付きづらいので、ぜひその視点でカスタマーサクセスの業務に取り組んでいただきたい。
実際に転換のパターンの一例として下記のようなケースが考えられる。
顧客理解を軸にオペレーションスキルの関連性を踏まえながら――というのはこれまで述べてきている通りだ。追加で押さえておくポイントは、ドメイン知識の広さが仕事の振り幅を規定し、顧客理解の深さが成果を規定する、ということだ。
カスタマーサクセスにおいて幅広いドメイン知識を得ていると、目の前の業務だけでなく、新しい企画や、個別プロジェクトなどの仕事のチャンスが多くなる。そういった業務では、業界内における土地勘、地図を持てているかが重要になってくるので、ドメイン知識、それも実務に基づくリアルな知見(≠書籍やセミナーだけで得た知識)を持っている人材は重宝される。
また顧客理解の深さが功を奏すことは言うまでもないだろう。自社の顧客の業務がどうなっているか、どのような1日を過ごしているか、どのようなIT環境、職場環境にいるのか、そこでどんな悩みがあるのか。
こういったことが手に取るように分かるだけで、他の職種でも圧倒的に成果を出すことができる。インサイドセールスに転用するなら、顧客の目を引く資料タイトルを思い付けるし、プロダクトマネジャーであればどんな機能があれば顧客の課題を解決できるかのアタリがつく。
カスタマーサクセスのキャリアは、それ自体を極めるにしても他の職種に転換するにしても、非常に魅力的なものだ。また人数が増えていけばそれだけマネジメントスキルを磨くチャンスも増える。社内のキャリアパスをしっかり構築して、今の仕事から何を得られるかを共通認識としたチーム運営を行っていくとよいだろう。
著者紹介:礒野亘(いそのわたる)
株式会社ビービット カスタマーサクセス
京都大学経済学部を卒業後、ビービット入社。コンサルタントとして教育・メディア・金融など50以上の企業でUX改善・成果向上に従事。その後、UXコンサルティングプロジェクト責任者を経て2018年よりUXチームクラウド『USERGRAM』のカスタマーサクセス立ち上げ・運営に携わる。累計300社以上のUX企画推進・人材育成を支援し、2021年よりインサイドセールス責任者。
株式会社ビービット:https://www.bebit.co.jp/
Twitter:@wataridori89102
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