よい属人化と悪い属人化 「優秀な総務部」を作るポイント:「総務」から会社を変える(2/3 ページ)
総務の課題である「属人化」。この属人化には悪いものもあればよいものもあると解説するのが、月刊総務編集長の豊田健一氏だ。どういうことか。
例えば、今後求められるであろう戦略立案能力のために、総務パーソンは専門性を高めることが必要である。担当する業務のプロとして、いろいろな提案をしていくには、奥深い知識が必要となる。この領域こそ、まさに総務の力の見せ所ともいえ、その人に依存するという意味では、属人化といえるだろう。
ただ、よい属人化だからといって、高い専門性を抱えている人が1人いるだけでは、優秀な総務部は築けない。可能な限りナレッジの共有をすることで、属人化を排除し、組織共有の財産とすることも必要だ。
共有という点では、戦略立案、そのための現状把握、情報収集、考える上での着眼点、選択する際の判断軸――といった考えるプロセスも共有したい。誰か一人の職人技で行うのではなく、誰もが同じ道筋をたどり、結果、どのような戦略になるかはケースバイケースだが、少なくとも、同じプロセスをたどれるようにしておけば、大きくずれることもないはずだ。
「未知との遭遇」が総務の課題
総務は抱える業務範囲が広く、全てにわたって知識を得ることは不可能に近い。いってしまえば、総務担当業務は“他の部門が担当しない全ての業務”とも表現できる。
現代はVUCA時代とも呼ばれ、何が起こるか分からない時代であり、この時代に総務が対処しなければならないのが、「未知との遭遇」である。今回のコロナ禍もある意味、未知との遭遇だった。
未知との遭遇においては、過去の経験値が通用せず、しかるべき専門家を頼ることになる。つまり、求められるものは“Know How”から“Know Who”、必要な情報を知っている人を知っているか、が総務の優秀さを左右する。この専門家ネットワークも組織の財産として共有して、いざことが起これば、誰もが該当する専門家にアプローチできるようにしておく。この専門家人脈はぜひ、豊富にしておきたいものだ。
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