総務がもっと経営陣から評価されるためには? 「総務白書」作成のススメ:「総務」から会社を変える(1/3 ページ)
縁の下の力持ちとして語られがちな総務部署だが、デジタルツールの活用であらゆるものの「可視化」がしやすくなったことで状況が変わってきている。これからの総務はデータアナリストとして活躍すべきだと筆者は指摘する。
コロナ禍がもたらしたもの、それは働き方の分散だ。このことにより組織運営において悪影響を受けたもの、逆に促進されたものがそれぞれある。
悪影響を受けたものとしては、気軽なコミュニケーションがとれなくなったことが代表例である。それにより、特に若手メンバーを中心にメンタル不全の可能性が高まったことに悩む企業も多い。
気軽なコミュニケーションが取れないことは多方面に影響を及ぼす。まず、会社とのつながり感の希薄化を生む。オフィスに出社していたころは、自然に顔を合わせることで生まれていたコミュニケーションが、希薄化していく。会社らしさの体感ができなくなり、同一の空気感に触れることも少なくなっていく。
その結果、モチベーション、さらにエンゲージメントに課題があると感じる企業が増えている。単に個人の「さびしい」「不安」といった気持だけでなく、それらが積み重なり、集合体としての組織における文化や風土の弱体化という課題が浮上してきているようだ。
「可視化」の観点からDXが加速
一方で、コロナ禍により促進されたものがある。いわずもがな「DX(デジタルトランスフォーメーション)」である。働く場所が分散し、テレワークを推し進めていくのに必要となるデジタルツールの活用が一挙に進んだ。テレワークそのものもそうだが、DXもコロナ禍の前から少しずつ促進されていた。それが、ここにきて一挙に進み出したことはコロナ禍における「けがの功名」といえるかもしれない。
働く場の分散により、各自の健康状態、仕事の成果や状況が見えなくなってきたことも追い風となっている。DXの一つの側面は可視化であり、その観点からデジタルツールの導入が進んでいるからだ。デジタルツールを使うことで、ログが残りデータ化される。それにより動きや状況が見えるようになるのだ。データとなれば瞬時に取得・共有が可能となる。
とはいえ、取得できるデータは膨大なものだ。その中で、総務が注目すべきデータはどういったものなのだろうか。
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