総務がもっと経営陣から評価されるためには? 「総務白書」作成のススメ:「総務」から会社を変える(2/3 ページ)
縁の下の力持ちとして語られがちな総務部署だが、デジタルツールの活用であらゆるものの「可視化」がしやすくなったことで状況が変わってきている。これからの総務はデータアナリストとして活躍すべきだと筆者は指摘する。
あるIT系企業の総務課長は、Zoomで行う会議の「接続状況」に注目するという。例えば、メンバーによっては会議の開始前に余裕をもって接続する人、あるいは会議直前に接続する人、もしくは開始後になってようやく接続するなど、それぞれ違いがある。
その総務課長によると、余裕をもって接続する人ほど仕事へのモチベーションが高く、開始後に接続するような人はモチベーションが低い傾向にあるとのことだ。もし、後者のようなメンバーがいる場合には、その上長にさりげなく伝達し、仕事の取り組み姿勢に問題はないか確認することもあるのだという。
また、ある通信系企業の健康経営担当者は、チャットの利用量に注目している。あるメンバーのチャットとの利用量が突然増えたり、減ったりといった異常値が表れると、場合によってはメンタル不全の可能性があるのだという。こちらも、先ほどと同様に異常値を発見した場合には上長に伝え、対応を依頼している。
つまり、日々の行動がデジタルツールを使うことで把握でき、そのデータの異常値から何らかの兆候をつかめるのだ。加えて、そのデータと、健康状況、エンゲージメント調査、業績、パフォーマンスなどのデータを掛け合わせることで、さらに確度の高い前兆が読み取れるのではないだろうか。
このように、デジタルツールの活用、DXが進展すればするほど、さまざまなものがログ、データとなって把握できるようになる。今後、総務としては、そのようなデータを収集し、そして掛け合わせながら、顔の見えないメンバー、組織、会社の状況を把握していく必要がある。そうして状況、前兆を早めに察知できれば、先回りして仕掛けを打っていくことができる。そして、その結果がどのようにデータとして現れるか、定点観測していくことで、総務の仕掛けの効果検証もしやすくなるはずだ。
総務がこれまで以上に評価されるためには?
これまで総務がなかなか評価されにくかったのは、行った仕掛けの効果検証が難しかったからだ。
データが把握できるようになれば、総務でもPDCAがしっかりと回せるようにもなるし、営業部門と同様に、定量的な評価をすることが可能となる。心強い武器を持てた半面、定量評価されるというプレッシャーも増えてくることだろう。まさに「攻める総務」としての姿が求められてくるということだ。
攻める総務を推進する上で知っておきたいのが、筆者も副理事長として参画している、一般社団法人FOSCで理事長を務めるクレイグ・カックス氏が提唱している「総務白書」という概念だ。
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