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パワハラ加害者に「すぐに厳しい処分を!」と張り切る企業を襲う、思わぬ訴訟リスクとは:弁護士・佐藤みのり「レッドカードなハラスメント」(1/2 ページ)
裁判所がパワハラ事案を違法と認めたが、雇い主が加害者に下した懲戒解雇処分は「無効」と判断した──そんな事例があります。なぜ、そんなことになるのでしょうか。
連載:弁護士・佐藤みのり「レッドカードなハラスメント」:
ハラスメント問題やコンプライアンス問題に詳しい弁護士・佐藤みのり先生が、ハラスメントの違法性や企業が取るべき対応について解説します。ハラスメントを「したくない上司」「させたくない人事」必読の連載です。
従業員から「パワハラ」や「セクハラ」など、ハラスメントの被害申告があった場合、会社は迅速かつ正確に事実関係を調査し、調査結果を踏まえて一定の判断を下さなければなりません。会社が黒(ハラスメントの事実があった)と判断した場合には、加害者に対して懲戒処分などを検討することになります。
「セクハラをするなんて許されないことだ。被害者を守るためにも、加害者には会社を辞めてもらうしかない」
「特に今の時代、ハラスメントには厳しくしないと、会社の社会的信用が失われてしまう。解雇に賛成」
といった具合に、とんとん拍子に処分を決定する会社もあるかもしれません。しかし、懲戒処分をするかどうか、するとしてどういった処分が適当かについては、相当慎重に判断する必要があります。
後に、処分を下された従業員が会社に対し、「不当な処分だから無効だ。そのせいで、賃金を支払ってもらえなかったのだから、まとめて支払え。違法な処分でこっちは傷ついたんだから、慰謝料も支払ってもらう」などと訴えてくることがあるからです。
不当な処分をしてしまうと、訴訟リスクも 懲戒処分をしていいライン
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