ニュース
紙で保存ができなくなる 改正電子帳簿保存法がもたらす、意外な落とし穴(2/3 ページ)
2022年1月に、改正電子帳簿保存法が施行される。これは、これまで紙で保存されることが義務付けられていた税金関係の書類を、電子化して保存するための条件を緩和するものだ。DX花盛りの昨今、ペーパーレスを法律面からも後押しすることを狙っている。ところが、確かにペーパーレスが可能になる一方で、電子データの保存ルールには意外な落とし穴がある。
「受け取ったPDFをフォルダに保存」では、要件を満たせない
請求書や領収書などは、メールにPDFが添付され届くことが多いだろう。ところが、検索機能の確保では、次の3つの要件を求めている。
- 日付、金額、取引先の3つの項目で検索できること
- 日付、金額は範囲を指定して検索できること
- 2つ以上の任意の記録項目を組み合わせて検索できること
なるほど、日付と取引先はともかく、PDFの中に記された金額はメールボックスを検索するだけでは分からない。「1万円以上の領収書を表示」というような検索ができなければいけないというわけだ。企業は、法改正される1月までに何らかの対応を求められることになる。
もちろん実務上の対処法はあって、例えば、PDFのファイル名を、「日付−取引先−金額」といった命名ルールに従って変更し、保存しておくという方法もある。または、Excelなどに日付と取引先と金額を記入し、それを索引としてファイル名が分かるようにするのもありだ。
しかし、これは書類を扱う担当者が少なく、確実にルールが徹底できないと運用できない。できれば、電子データを自動で管理してくれるSaaSサービスが求められるところだ。
関連記事
- やっぱり紙で保存も可能に? 電子帳簿保存法、国税庁が懸念解消
2022年1月から施行される電子帳簿保存法。国税関係の書類の電子化を進めるための法律だが、その中の電子データで受け取った領収書については、紙で保存ではなく電子データのまま保存しなくてはいけないという項目が波紋を呼んでいる。単にデータとして保存するだけではなく、国税庁が求める検索要件などに対応しなくてはいけないからだ。 - マネフォ、改正電帳法対応のファイル保存サービス「マネーフォワード クラウドBox」無償公開
マネーフォワードは10月29日、電子帳簿法対応ストレージサービス「マネーフォワード クラウドBox」をすべての事業者に無料提供すると発表した。2022年1月施行の改正電子帳簿保存法(以下「改正電帳法」)の保存要件に対応する。 - 「LayerX 電子帳簿保存」の事前登録受付開始 22年1月の改正電子帳簿保存法施行を見据えた新サービス
LayerX(東京都中央区)は10月27日、2022年1月1日の改正電子帳簿保存法の施行を見据え、新サービス「LayerX 電子帳簿保存」を21年11月より順次提供すると発表した。またサービスリリース時、優先的に案内を希望する人向けに事前登録の受け付けを開始する。 - 電子帳簿保存法改正の意識調査 PDF請求書の印刷保管できなくなる「詳細知らない」7割超
クラウド型経費精算システム「楽楽精算」などを開発提供するラクス(東京都渋谷区)は、2022年1月の改正電子帳簿保存法の施行を前に、全国の経理担当者を対象とした電子帳簿保存法に関する意識調査を実施した。 - 請求処理自動化サービス「invox」、導入企業数累計1000社を突破 提供開始から約1年半
Deepwork(東京都新宿区)は9月15日、提供する請求処理自動化サービス「invox」の導入企業数が、累計1000社を超えたと発表した。 - 請求書版「それ、早く言ってよ〜」 Sansan、中小企業にクラウド請求書受領サービス「Bill One」を無料提供
Sansanは5月27日から、クラウド請求書受領サービス「Bill One」を従業員100人以下の企業に無料で提供を開始した。大企業に比べて遅れているという中小企業のDXを促進することが狙いとし、「中小小規模事業者がDXに取り組むには十分。そんなオンラインの成功体験をまずは提供する」(寺田親弘社長)という。 - 紙もPDFもまとめてデータ化 Sansanが請求書データ化サービスを始めたワケ
自社だけの工夫では紙の請求書をなくすことはできない。であれば、経理担当者の代わりに請求書を受け取り、まとめて電子化して提供すればいいのではないか。こんな観点から、請求書の電子化を請け負うサービスが複数登場している。 - pring法人送金、invoxでデータ化した請求書が24時間いつでも振込可能に
送金アプリなどを展開するpring(東京都港区)は9月13日、請求処理自動化サービスinvoxの開発や運営を行うDeepworkとの業務提携を発表した。10月1日よりpring法人送金とinvoxのAPI連携を開始し、invoxで自動データ化した請求書の支払いデータを用いて、プラットフォーム上から直接の振込指示が可能となる。 - マネーフォワードクラウド請求書、1年間無料キャンペーン実施 紙の請求書の電子化を推進
マネーフォワードは6月9日、クラウド型請求書ソフト「マネーフォワードクラウド請求書」を1年間無料で利用できる特別プランの提供を開始した。 - コンカー、経費精算の次は請求書のデジタル化へ 「デジタルインボイス構想」掲げる
クラウド型の経費精算システム大手のコンカーが、請求書のデジタル化に向けたサービスの強化にかじを切る。同社社長の三村真宗氏は、今後4年間で3倍の販売実績を目指すとし、売り上げに対する比率も現在の10%から40%まで増やす計画だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.