宣言解除でアパレル業界の復活なるか 秋冬商戦で問われる企業の力:磯部孝のアパレル最前線(2/3 ページ)
コロナ禍で人流に変化がおきて生活者のライフスタイルも変わった。生活者のライフスタイルの変化に対応できた企業と出遅れた企業とでは業績に差が生まれたように思う。アパレル業界が打破しなければならないポイントや対応策について考えてみたい。
DXと成長分野への投資を強化
今期のビジネスウェア事業は、コロナ前の売り上げ(18年実績売上高1821億円)から、約37%減となる1150億円を想定。その減少分を、DX戦略と成長分野(オーダー、レディス、フォーマル、制服レンタル、その他)の拡大で補っていく考えだ。これらを2年がかりで成長させ、23年の売上高を1400億円にする計画。
本業のビジネスウェア事業に関しては、リブランディングを図っていくようだが、これらの施策が現実に起きている客離れの防止策となっているのか。今まで買い上げてくれていたお客が、どこに移っているのか。もう少し分析を進めていく必要があるのではないかと思う。
ユニクロは巣ごもり需要の獲得も“税込表記”が影響
一方のカジュアルウェアはどうか。ファーストリテイリングが発表した20年9月〜21年8月の国内ユニクロ事業の売上収益は8426億円(前年比4.4%増)、営業利益1232億円(同17.7%増)の増収増益だった。上期(20年9月〜21年2月)は、コロナ禍の巣ごもり需要にマッチしたラウンジウエアやヒートテック毛布などの販売が好調だったが、下期(21年3〜8月)は、4月から消費税を本体価格に含めた施策からつまずきが始まり、販売不振による売価変更も影響した。
22年8月期通期の業績予想では減収減益を見込む。上期は、前年の業績が好調だったことに加え、生産遅延なども含め大幅な減収減益を見込む。下期は、若干の増収、営業利益は大幅な増益を予想している。
ユニクロのようなベーシック商品指向型企業となると、規模があまりに大きくなってしまっているせいで、動きがどうしても鈍くなっているようだ。
10%の消費税を本体価格に吸収させた上で例年並みの売り上げを出すには、売上数を大幅に増やす必要がある。また、例年並みに利益を確保するには相応に安く仕入れなければならない。展開する商品には、2〜3年継続して販売する商品も含まれていて、商品の入れ替え自体にも時間を擁していることが影響しているのだと分析する。
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