「見える化」だけでは不十分! 国や法人を超えた人材管理、どうすればいい?:「ニューノーマル×グローバル」に勝つ人事(2)(1/3 ページ)
日本のグローバル企業が多く取り組んでいる「グローバルグレーディング」だが、「日本本社から見た、海外幹部層のポジションや報酬の見える化」にとどまっているケースが多い。しかし、筆者はこれでは不十分だと見ていている。企業の成長につながる人材管理の3つのポイントとは?
連載:「ニューノーマル×グローバル」に勝つ人事
日本企業が、グローバル市場で求められる組織能力を獲得し発揮するために必要なことは何か──。
多くの日本企業のグローバル化の支援実績を持つマーサージャパンのコンサルタントが、ニューノーマル時代に見直すべきグローバルの人事戦略の在り方を解説する。
日本企業が、グローバル展開する際の共通基盤として、長年取り組んでいるものの一つに「グローバルグレーディング」がある。多くの場合、「役割の大きさ」を前提にして、グローバルで共通の等級(グレーディング)を適用し、さまざまな施策に役立てるという取り組みである。
通常は、企業グループ全体の管理職以上に適用することが多い。この仕組みを使うことで、世界にまたがる一定階層以上のポジションの存在を「役割の大きさ」を基準に可視化できる。
これらは特に幹部層ポジションなどの報酬設定や任用に役立てられる。各拠点の重要ポジションの報酬について、こうしたグレーディングを前提に定めている企業も多い。
一方で、こうした仕組みは「日本本社から見た、海外幹部層のポジションや報酬の見える化」にとどまっているのが実情であり、ニューノーマル時代の弾力的なグローバル経営を目指すには、まだまだ活用が不十分であるといえる。
では、今後どのようにグローバルグレードを活用することが求められているのだろうか。国や法人を超え、共通して人材マネジメントを行い、企業の成長につなげるための3つのポイントを解説する。
(1)グローバル経営のための「ワークフォースプランニング」
「ワークフォースプランニング」(WFP)という言葉をご存じだろうか。
その名の通り、「ワークフォース(人的資源)をプランニング(計画)する」という意味である。これは、日本型雇用によくみられる新卒一括採用による入社人数と、定年退職などによる退社人数の「差し引き換算による人員数の計算」やそれに基づく計画とは全く異なる。
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