さくらインターネット、将来は「路面型オフィス」に? 面積10分の1の新オフィス移転はあくまで「通過点」:オフィス“再構築”は続く(2/3 ページ)
東京支社を半分に縮小。大阪本社も、面積が10分の1の新オフィスに移転したさくらインターネット。将来的には、どのようなオフィスを目指していくのか?質問したところ、「路面店のようなオフィス」という言葉が飛び出した。
緊急事態宣言前から導入していたリモートワーク
「きっかけは新型コロナウイルス感染拡大防止の観点だったが、その脅威がなくなったからといって、リモートワークをやめるということはない」と中川氏は言う。
さくらインターネットでは、働き方をリモートワークへシフトしよう、という動きが以前からあったが、20年2月下旬に全国の公立学校休校措置について触れられた翌営業日からリモートワークの推奨を行い、休校の開始日である3月2日から原則リモートワークへ移行。3月25日には全社へ「リモートワーク前提の働き方へシフトする」という告知を出している。これは、時系列でいえば最初の緊急事態宣言が出されるより10日以上早い。
「原則リモートワーク」となったことで、80〜90%の社員がオフィスへ出社しなくなった。
これほどスムーズにリモートワークを拡充させられたへのは、同社が福利厚生の一環として16年10月から導入している「さぶりこ」(Sakura Business and Life Co-Creation)内の「どこでもワーキング」(17年4月に追加)によるところが大きい。
さぶりこは、会社という枠にとらわれず、社員が会社と無関係なキャリアでも幅広く形成しながらプライベートを充実させ、そうして得た知識や経験により共創していくことを目指した仕組みのこと。独身・既婚、子どもの有無、男女に関係なくどの社員でも利用可能だ。その仕組みの中にあるどこでもワーキングでは、自宅はもちろん、コワーキングスペースでも業務を行える。
コワーキングスペースを利用しやすいよう、さくらインターネットでは全国約300の拠点を持つ「OFFICE PASS」と契約し、どこからでも心理的・金銭的負担がかからないようにしている。
このような文化があったことから、「意思決定時に何の障壁も衝撃もなかったし、特別なことにチャレンジしているような意識もなかった」と前田氏は振り返る。
こうして、全社員が原則としてリモートワークを行うよう方向付けられたため、出社するのは経費精算のための領収書を扱うなど、どうしても紙が発生してしまう業務に携わる10%程度の人に限られた。
ここからオフィスを再構築する必要性が生まれてきたのだ。
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