ネット証券最短で100万口座到達のLINE証券 次の狙いは?:金融ディスラプション(2/2 ページ)
スマホ証券のLINE証券が、サービス開始から2年2カ月で100万口座に到達した。約130万口座である松井証券やauカブコム証券を、口座数でいえば射程に収めてきた形だ。初心者だけでなく経験者向けの機能も拡充し、総合証券化を目指してきた同社の次の狙いはどこか? Co-CEOの正木美雪氏と、米永吉和氏に聞いた。
22年3月までに「つみたてNISA」開始
LINE証券は23年3月までに営業収益100億円、24年3月までに200万口座獲得という新たな目標を掲げた。21年3月期の営業収益は11億3400万円で116億円の赤字だが、営業収益100億円に達すればブレイクイーブンが見えてくるという数字だ。
これを実現するための手段として、まずは22年3月までにつみたてNISAを開始する。つみたてNISAは20年間にわたり非課税とする税優遇口座で、21年6月時点での口座数は417万ながら、利用者の約半分が20代、30代となっており、若年層の増加率も高い。
さらに、自らの投資先をグラフィカルにまとめてほかの人に見せられる「ポートフォリオ公開機能」の準備も進める。
米永氏は、「今後スマホサービスの競い合いになってくる。金融機関以外から投資情報を取る行動が増えているので、SNSやYouTubeの投資情報取得からどう(口座獲得や取引に)つなげるかがキー。体験を共有し合う機能がより重視されてくる。投資の成功体験がわれわれのコンテンツとなり、違うお客が流入してくる」とその狙いを話した。
また昨今急速に高まる米国株取引については、「初心者にどういった形で米国株を提供したらいいか、考えていかなくてはならない。CFDを検討している」(米永氏)とした。
そして、9月に米国で初めて上場したビットコイン先物ETFについては、「仮想通貨は投資家ニーズが高い」(米永氏)とした上で、研究検証は開始しているが、「ビットコインETFについては発行体が動いてくれないと販売できない」とした。国内では金融庁に届出されていない海外ETFを勧誘してはいけないというルールがあるためだ。
ポイント投資は?
若年層や女性からの支持が厚いLINE証券だが、そうしたユーザーが高く評価する、クレジットカードを使った投信積立サービスについては、どのように考えているのだろうか。先べんを付けた楽天証券では、積立投資ユーザーの7割がクレカを使い、楽天経済圏の十八番であるポイント還元を武器に、月間500億円を超える積立額を得るに至っている。SBI証券も三井住友カードと組んでクレカ積立を始めるや否や、一気に月間積立額が500億円を超えるなど、その効果は明らかだ。
正木氏は、「30代前後の女性で、ポイントを重視する顧客が多い。われわれもポイントを使えるサービスはやっているが、よりポイントニーズが高い顧客、つみたて投資を有利に行いたいニーズが多いようだ」と分析する。
一方で、その実現へのハードルは低くはない。「有効的なマーケティング手段ということで、検討はしている。費用と効果をどう見るかが重要だ」と米永氏は話す。
8900万人が利用するLINEプラットフォームを武器に、急速に拡大したLINE証券。5大ネット証券と肩を並べる規模に成長することで、スマホ証券ながら台風の目になっていくだろうか。
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