ITは二の次? DX推進のために、総務が解消すべき「三大課題」:「総務」から会社を変える(2/3 ページ)
DXというと最前線のITシステムの導入や利活用をイメージしがちだが、こと総務領域においてはそうではない、と指摘するのが月刊総務編集長の豊田健一氏だ。では今、総務は何をするべきなのか。「総務の三大課題」とともに解説していく。
総務の三大課題(3)無変化
三大課題の最後が、無変化だ。
総務の多種多様な業務を回すには、標準化をして誰でもができるようにマニュアルを整備し、多能工化を実現する。これはまっとうなアプローチであり、そのように全総務がすべきである。しかし、マニュアルが一度できてしまうと、思考停止という悪弊に陥る可能性があるのも事実だ。
マニュアルを否定しているのではないが、四角四面、その通りに進めていくことは、改善の可能性をなくしてしまうことにつながる。VUCA時代といわれる外部環境の劇的な変化、それに伴い変化した働き方。それに合わせるように、全ての仕事は毎年ゼロベースで見直すべきであり、もちろんマニュアルも例外ではない。一度作ったマニュアルであっても、常によりよくできるのではないかという視点で業務を進めていくことこそが求められるのだ。
まずは「総務の地平線」を定めるべし
ここまで紹介してきた三大課題の改善でまず必要となるのが、「ゼロベース思考」である。つまり、聖域をなくして、全ての業務の必要性を見直すことだ。
その前提として、総務業務の全体感を策定してみることが求められる。まず自社の総務業務にどのような業務が存在しているのか。その確認をしつつ同時に必要なのが、足りない業務はないかどうかの確認だ。
他社などもベンチマークとしながら、本来やるべき仕事で足りていなかった業務も含めて、総務業務の「地平線」を定めてみよう。「他部門の業務」でも担当することがある総務としては、正確な地平線(業務範囲)を確定することはなかなか難しいが、まずは足元から、何をしているのかを可視化することから始めるとよいだろう。
それらの項目について、価値を可視化してみる。具体的には、行う意味があるのか、あるいは何のために行っているのかの確認である。全ての仕事は、そのアウトプットを受け取る次の工程を担当する人がいるはずである。その人に対して、どのような価値を提供しているのかを定め、万が一、価値がないようであれば、止めてしまうのも手だ。また、その人が欲しがっているレベル、質も確認してみると、業務がオーバースペックになっていることもあるはずだ。であれば、必要最低限のレベルにして、仕事量を減らす、ということも可能となる。
価値を可視化し、業務レベルも適切になっていけば、次は、「最短距離」で行われているかの確認をしてみよう。無駄な確認業務がないか、あるいはボトルネックはないか。時間、人手などを総合的に考慮し、最も効率よくできる方法を目指すのだ。そして、そのフローが明確となればマニュアルができ、おそらく、ほとんどの仕事は特定の人でなく誰でもできる状態となっていくはずだ。別の表現をすれば、「型化」できていくはずだ。ここまでできると、その仕事の価値が担保されるのであれば、そのままテクノロジーツールに置き換えることも可能となるし、外部委託も選択肢に入ってくるだろう。
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