ITは二の次? DX推進のために、総務が解消すべき「三大課題」:「総務」から会社を変える(3/3 ページ)
DXというと最前線のITシステムの導入や利活用をイメージしがちだが、こと総務領域においてはそうではない、と指摘するのが月刊総務編集長の豊田健一氏だ。では今、総務は何をするべきなのか。「総務の三大課題」とともに解説していく。
紙の存在から見直してみる
もう一つ重要なのが、「紙」から業務改革を行ってみることだ。デジタライゼーションのさらにその前段階、「デジタイゼーション」として紙をデジタルに置き換えることで、テクノロジーツールによる効率化が進み、テレワークも実現されていく。
そもそも紙が存在するということは、その紙の上に記載する情報を流通させる必要がある、ということだ。つまり、既存の紙に掲載されている情報をそのままデジタルに置き換えて流通させるのではなく、なぜその情報が必要なのか、その情報を持って何が次の工程でなされるのか、最後にどこに情報を集積させ、何をしたいのか。その情報の流通過程を可視化していくとよいだろう。
遠回りでも「隗より始めよ」
ここまで、今回はデジタルツールを導入する前に留意すべき点について解説してきた。この工程では、全ての仕事には意味がある、ということを意識して、その意味を見いだして適材適所で対応していく心構えが特に必要である。
とかく生産性が低いといわれるホワイトカラー、特に総務はその必要性が高いと痛感している。全社の業務改善コンサルタントとして、まずは隗より始めよ、ではないが、総務自身から徹底的に効率化を図り、その勝ちパターンをもって全社に横展開していく、そんな遠回りにも見える役回りが、DX全盛時代の総務には求められるのではないだろうか。
著者プロフィール・豊田健一(とよだけんいち)
株式会社月刊総務 代表取締役社長、戦略総務研究所 所長
早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルート、株式会社魚力で総務課長などを経験。現在、日本で唯一の管理部門向け専門誌『月刊総務』を発行している株式会社月刊総務の代表取締役社長、戦略総務研究所 所長。一般社団法人ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアムの副代表理事や、All Aboutの「総務人事、社内コミュニケーション・ガイド」も務める。
著書に、『リモートワークありきの世界で経営の軸を作る 戦略総務 実践ハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター、以下同)、『マンガでやさしくわかる総務の仕事』、『経営を強くする戦略総務』
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