「優秀な女性社員が、管理職をやりたがらない問題」は、こう解決する:管理職の女性は「スーパーウーマン」?(2/3 ページ)
実は、成功している女性リーダーには、ある共通点があります。優秀な女性社員に、より活躍の選択肢を増やしてもらうためには、どのようなマネジメントが必要なのでしょうか。
管理職になれる女性は「スーパーウーマン」?
マネジャーの立場としては、男女関係なく、優秀な部下であれば将来のマネジャーになってほしいと願うものだと思います。私自身、部下の8人のうち7人が女性です。誰かに後継者として育ってほしいと思っていますが、現実問題はなかなか難しい状況です。それは彼女たちが優秀ではないということでは決してありません。本人たちのマインドセットとして「マネジャーになりたくない」という強い思いがあるのです。
これは私の部下だけではなく、一般的にも見られがちな傾向で、そもそも管理職になりたくない女性の割合は多いのです。その理由としては、「自分にはまだできない」「責任が重そう」「面倒くさいことが多い」「ロールモデルがいない」などがよく挙げられます。
つまり多くの場合、マネジャーすなわち管理職は非常に難しく、煩雑で大変な業務であり、それをこなせる女性は一部の特別な人だけだ、という考え方が浸透しているように思えます。
確かにテレビなどで取り上げられ、活躍しているビジネスウーマンは、朝早く起きて子供のお弁当を作って送り迎えもしながら、会社ではキビキビ働いて短時間で結果を出し、夜は子供の寝かしつけをして……と、いわば「スーパーウーマン」として描かれることが多いかもしれません。
しかしながら、私がリクルーターとして向き合ってきた大多数の女性リーダーには、良い意味でそういった「スーパー」な印象はありません。彼女たちはとてもしなやかで、そして何より「頼る力」がある人たちです。
成功した女性リーダーが、共通して持っている認識
彼女たちがなぜリーダーになったのかというストーリーにはさまざまなものがありましたが、リーダーになった後、共通して持っている認識が一つありました。それは「完璧さを捨てる」ということです。
一概に男女差として語れるかどうかは分かりませんが、一般的には女性のほうがより「完璧主義」であることが多いかもしれません。与えられた仕事は完璧にこなさなければならないし、家事もうまくやらなければならない、もちろん育児はいわずもがな。そんな無意識のプレッシャーに向き合っているからこそ、さらに部下の育成、組織全体を見るなんて無理、となるわけです。
しかし、成功している女性リーダーは「最初からうまくできるわけがない」「うまくできなかったら一般社員に戻ればいい」「家事も育児も手を抜けるところは手を抜くし、頼れるところは頼る」と語ります。マネジャーのハードルを下げて、完璧さを否定して、まずはスタートしてみること。そうすることで、ポジションが人を育て、彼女たちは素晴らしいリーダーになっていったのだと思います。
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