成功する起業家にはなぜ“うつけ”が多いのか? 常識をやぶり、既成概念から自由に羽ばたく方法:大愚和尚のビジネス説法(4/4 ページ)
いつの時代も、「変わり者」と呼ばれる成功者がいるが、常軌を逸脱した行動は、時には「うつけ(バカ)者」と笑われることもある。では、持って生まれた何かが違う異端者でなければ、成功者にはなれないのだろうか? 「僧にあらず俗にあらず」を体現する異色の僧侶、大愚和尚(たいぐおしょう)に、成功者になれない人に足りないものは何かを聞いた(編集部)。
だからこそ、すべての「フリ」を捨てて、「装飾」を捨てて、愚かな自分と、徹底して向き合う修行に、意味があります。それなのに、また、賢くなろうとしていた。同期の修行者と比べて、出来る奴を演じようとしていた。短期間で、効率よく、お釈迦さまになろうとしていた。
「どうせ愚か者なんだから、自分の愚かさを隠そうとするな。賢くなろうとするな。愚かさを徹底的に自覚して、愚かさを超えよ」。師匠から送られてきた手紙に書かれた「大愚」の文字から、師匠の声が聞こえて来るようでした。私の内側で、これまで必死に守ってきた、愚かな自分を覆い隠すための擁壁(ようへき)が、崩れ落ちた瞬間でした。
その日から、私は、全てを受け入れられるようになりました。
成功者は、自分が愚かであることを理解し、隠さない
自分に対する、他者からの注意も、批判も。自分に振られた、仕事も、役割も。自分に降りかかる、チャンスも、苦難も。自分が出会う、好きな人も、嫌いな人も。あらゆることの見方が、見え方が変わったように感じられました。
これまでと同じものを見ているのに、これまでと同じ風景を見ているのに、これまでと同じ人に会っているのに、これまでと同じ仕事をしているのに、あらゆるもの、ことが、新鮮に、興味深く思えるのです。
意地、見栄、妬み、嫉み、欲、怒り――。自分の愚かさを見つめると、これまでいかに、愚かさのフィルターを通して、ものごとを見聞きしていたか、に気づきます。
成功者と呼ばれる人たちは、私たちと全く違った世界に生きているわけではありません。私たちと同じものを見、同じものを聞き、同じものに触れているのに、全く違った感性でものごとを捉え、私たちの想像をはるかに超えた価値を、社会に生み出していきます。
その理由は、彼らに能力があるから、ではありません。ものの見方、考え方、取り組み方が、私たちとは違うのです。
- 知らないことは、知ったフリをせず人に聞く
- 新しい出会いやものごとに興味を持ち、柔軟に受け入れる。常識や固定概念にとらわれず、失敗を恐れない
- すぐに、簡単に、ものごとを達成できるとは思わない
- 多くのことに興味を持ちながらも、今なすべきことに、優先順位をつけて、情熱をもって集中する
成功者の共通点を見ていると、彼らが自分を万能な賢者だとは思っていないことが分かります。
自分を愚か者だと知っているからこそ、自分に固執せず、素直に他人の意見に耳を傾け、ありのままの現状を見て、自由に発想できるのです。真の成功とは、必ずしも、知名度や、社会的地位、稼いだお金の額や、所有している車の数、住んでいる屋敷の大きさとは関係ありません。
自らの目的に達した者。自らの目的を明らかにし、その目的を成就した者――その者を、真の成功者と呼びます。
そして、真の成功者は知っています。成功を妨げるものは、他人や環境ではないことを。自らの成功を妨げるものは、自分自身の愚かさであることを。
著者:大愚元勝(たいぐ げんしょう)
佛心宗大叢山福厳寺住職。株式会社慈光マネジメント代表取締役。慈光グループ会長。僧名「大愚」は、大バカ者=何にもとらわれない自由な境地に達した者の意。駒澤大学、曹洞宗大本山総持寺を経て、愛知学院大学大学院にて文学修士を取得。 僧侶、事業家、作家・講演家、セラピスト、空手家と5つの顔を持ち、「僧にあらず俗にあらず」を体現する異色の僧侶。
HPにて「お悩み相談」を受け付けているほか、YouTubeチャンネル「大愚和尚の一問一答」で国内外から寄せられた相談にも対応する。著書『苦しみの手放し方』(ダイヤモンド社)、『最後にあなたを救う禅語』(扶桑社)、『人生が確実に変わる 大愚和尚の答え』(飛鳥新社)など。
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