広い売り場と大きな看板の店舗を劇的に“縮小” 洋服の青山が導入する「デジタル・ラボ」の威力:店舗を見て分かったこと(1/4 ページ)
近年、実店舗とオンラインを融合させたOMO型店舗の出店が加速。2016年から開発に力を入れているのが「洋服の青山」を展開する青山商事だ。独自で開発した「デジタル・ラボ」の導入を進めている。
近年、アパレル業界などを中心に、実店舗とオンラインを融合させたOMO(Online Merges with Offline:オンラインとオフラインの融合)型店舗の出店が加速している。
カジュアル衣料大手のアダストリアは、2021年5月に展開するブランドの人気商品を集めたOMO型店舗「ドットエスティ ららぽーとTOKYO-BAY店」(千葉県船橋市)をオープン。自社のECサイトと実店舗を融合させ、デジタルサイネージを使ってトレンドランキングや自分に合ったスタイリングを表示するなど、より個人のニーズに合うファッションを提案、顧客体験の質を向上させる狙いがある。
そんな中、16年からOMO型店舗の開発に力を入れているのが「洋服の青山」を展開する青山商事だ。独自で開発した「デジタル・ラボ」の導入を16年から開始し、21年10月末時点で洋服の青山120店舗に展開している。
スーツはカジュアルウェアと異なり、着る人の身長や体格にどれだけフィットしているかが要となる。そのため、同じ商品でもY、A、AB、BB、Eとフィット感とシルエットが選べ、さらに2〜9号と身長に合わせたサイズ展開する必要がある。幅広い体形に合わせるため、1つのアイテムごとに数十着を用意していた。
紳士服専門店の郊外型の店舗を想像してほしい。大きい駐車場にワンフロアの広い店内。そして店舗の上には大きな箱型の看板……。幅広いサイズを展開するためには、広い売り場とそれを保管する倉庫スペースがどうしても必要だったのだ。
その店舗構成を一新させるのが「デジタル・ラボ」だ。店舗に設置したタッチパネルを使い、ECサイトや全国の店舗にある在庫から好みの商品を選べるようにした。
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