広い売り場と大きな看板の店舗を劇的に“縮小” 洋服の青山が導入する「デジタル・ラボ」の威力:店舗を見て分かったこと(4/4 ページ)
近年、実店舗とオンラインを融合させたOMO型店舗の出店が加速。2016年から開発に力を入れているのが「洋服の青山」を展開する青山商事だ。独自で開発した「デジタル・ラボ」の導入を進めている。
オーダースーツやシェアオフィスの展開に活用
このような経緯から、これまでは都市部の売り場面積が100坪未満の店舗を中心に導入していたが、現在では全国の大型・中型店への導入も進めている。
システムを導入した店舗ではスーツ売場の一部を縮小。現在強化しているオーダースーツのコーナーやビジネスカジュアル商品、レディース商品を拡充するなど、売場の再構築を行っている。また、一部店舗ではシェアオフィスやスポーツジムなど新しいサービスの展開も開始した。
また、10月にはザ・スーツカンパニー事業が展開する4つのブランドを集結したOMO型店舗として東京都新宿区に「TSC SQUARE(ティーエスシー スクエア)」を開業。
売り場面積は140坪の1フロア。この中に、同事業が展開するトータルビジネスブランド「THE SUIT COMPANY」、女性向けブランド「WHITE THE SUIT COMPANY」、大人向けセレクトショップ「UNIVERSAL LANGUAGE」、オーダー専門ブランド「UNIVERSAL LANGUAGE MEASURE'S」の4ブランドの商品を展開している。
同社が11月12日に発表した22年3月期第2四半期(21年4〜9月)の連結決算は、売上高が671億円(前年同期は610億円)、営業損益が70億円の赤字(同138億円の赤字)、純損益は75億円の赤字(同169億円の赤字)。
このうちビジネスウェア事業の売上高は408億円(前年同期は367億円)、営業損益は73億円の赤字(同144億円の赤字)となった。1回目の緊急事態宣言が発出された前年同期と比べ影響が限定的であったことや、不採算店舗の閉店、希望退職の実施などを進め損失額は減少した。
コロナ禍の影響が一定程度残るとしながらも、22年3月期の連結決算では黒字になると見込んでいる。同社が進めてきたデジタルラボは、コロナ禍の苦境を救う一助となるだろうか。注視してきたい。
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