若くして起業すべきではない、これだけの理由:世界を読み解くニュース・サロン(5/5 ページ)
米国のある調査では、起業で成功する確率は25歳よりも40歳のほうが2倍以上高く、30歳よりも50歳のほうが倍増するという。世界を見ても、成功者の多くは35歳以降に独立している。なぜ彼らは大器晩成したのだろうか。
若いうちは焦る必要はない
少し話がそれたが、大器晩成に話を戻すと、ある程度年齢を重ねて経験を積んだほうが成功しやすいのは普通に考えれば分かる。職歴が長けば、経験と人脈が増え、世の中の動きも流れも、そして現実も広く見れるようになるだろう。
ただ、それだけではないようだ。若者や中年の起業を調査してきたイリノイ州にある米ノースウェスタン大学のケロッグ経営大学院で教授を務めるベンジャミン・ジョーンズ氏は、同大学院の公式サイトで、そもそも「『若い起業家』という虚像によって、これまでも若者たちが若くして起業するという賢明ではないリスクを取ってきたと考えられる」と語っている。怖いもの知らずの若者が、とにかく起業、というのは失敗する可能性が高いということだろう。
ジョーンズ教授はさらに、仕事の経験が長いほうが仕事で成功しやすいとも述べている。
ビジネスパーソンとして自分の将来に不安を感じている若いビジネスパーソンは、まだ焦る必要はないということだろう。米国のように、より良い条件の仕事に移っていきながら、切磋琢磨し、野心があれば起業してもいい。とにかくじっくりと経験を積んでいくことが、ビジネスパーソンとしての成功につながっていくのかもしれない。
筆者プロフィール:
山田敏弘
ジャーナリスト、研究者。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフェローを経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『死体格差 異状死17万人の衝撃』(新潮社)、『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)がある。
Twitter: @yamadajour、公式YouTube「SPYチャンネル」
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