“愛線心”が生まれそう! 小田急の「子ども一律50円」戦略:究極の囲い込み(1/4 ページ)
関東圏の私鉄各社が、子育て世代をターゲットにした施策を打ち出している。小田急電鉄が発表した「小どもIC運賃一律50円」をはじめ、各社の戦略を見てみよう。
関東圏の私鉄各社は、どうすれば自社の鉄道路線エリアが「選ばれる沿線」になるかを考えながら、新しいビジネスプランを考えている。
最近では、「子育て世代」に向けた戦略を考えて事業の方向性を打ち出すことが多い。なぜ、「子育て世代」なのか?
将来の顧客を確保する
鉄道会社、特に私鉄の沿線住民は、単に鉄道の利用客として乗ってもらうだけの存在ではない。沿線の商業施設を利用し、高級品はターミナル駅の百貨店で買ってもらい、休日の行楽は沿線の諸施設を利用してもらう。生活に必要なモノを沿線で丸ごと提供するのが、関東圏私鉄、特に都心から西南部にかけてのビジネスモデルである。
近年は、鉄道各社が「子育て世代」に向けた新しいサービスを提供している。なぜ「子育て世代」かというと、大人になってもその沿線に暮らしてもらい、ずっと自社の提供するさまざまなサービスを利用し続けてほしい考えがあるからだ。
現在は少子化であり、子ども1人家庭も多い。日本の人口減少は加速しており、首都圏でも、将来は人口が減少していくことが予測されている。鉄道各社としては、沿線人口を確保したい思いでいる。
また、地方から都会に出て縁あって自社路線沿線に暮らしている単身者も、やがては結婚して家庭を営んでほしい。そういった思いから、各鉄道会社は若い利用者、特に「子育て世代」への対応を重要視している。
各社さまざまな取り組みを打ち出す中、11月8日に小田急電鉄(以下、小田急)が、これまでに見たことがない取り組みを表明した。「小児IC運賃一律50円」である。これは大胆な施策だ。
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