“愛線心”が生まれそう! 小田急の「子ども一律50円」戦略:究極の囲い込み(2/4 ページ)
関東圏の私鉄各社が、子育て世代をターゲットにした施策を打ち出している。小田急電鉄が発表した「小どもIC運賃一律50円」をはじめ、各社の戦略を見てみよう。
画期的な「小児IC運賃50円」
小田急のICカード初乗り運賃は、126円。小学生以下の子どもはその半額の、63円。小児用PASMOは各種証明書があれば駅窓口で購入できる。そのことを考えると、記名式ICカードで一律50円というのは、大変なことだと分かる。
ちなみに、新宿駅から小田原駅まではICカードで大人891円、小児445円。もし子どもが新宿〜小田原間をロマンスカーで移動したら、運賃50円に、特急料金460円。ちょっとしたお出かけにも親はちゅうちょしなくなるだろう。
「小児IC運賃一律50円」の発表は、小田急沿線における子育て応援ポリシー「こどもの笑顔は未来を変える。Odakyuパートナー宣言」の具体策として発表されたものだ。プレスリリースによると、「分かりやすく、ご利用いただきやすい運賃体系とすることで、将来を担う小学生のお子さまのお出かけをより身近なものにします」とある。
なお、小児運賃を持続的に大人運賃の半額以下に一律低廉化するのは、全国の鉄道会社で初の試みだという。開始は2022年春。通学定期なども運賃改定を行う予定だ。
「子育て世代」を意識した小田急の取り組み
小田急ではこのほか、上記の子育て応援ポリシーを体現する施策として、21年5月には子ども連れの乗客が安心して利用できる車両「子育て応援トレイン」を期間限定で運行。今後は駅でのベビーカーシェアリングも導入を検討している。
小田急グループでは、子どもたちの楽しさや学びにつながるイベントを多数実施してきた。実費程度の費用で参加できる職場体験有料イベントなどは好評で、毎回多くの参加希望者が集まっている。「ロマンスカーミュージアム」にも子ども向けの遊び場などが備えられている。駅には子ども専用トイレやファミリートイレも設置し、「小田急こどもみらいクラブ」という、学童保育も設置している。
こうした取り組みは、小田急以外の各鉄道会社でもさかんに行われている。
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