コラム
“愛線心”が生まれそう! 小田急の「子ども一律50円」戦略:究極の囲い込み(3/4 ページ)
関東圏の私鉄各社が、子育て世代をターゲットにした施策を打ち出している。小田急電鉄が発表した「小どもIC運賃一律50円」をはじめ、各社の戦略を見てみよう。
子育て世代に選ばれる沿線になるには?
18年3月13日に開業した京王電鉄運営の子ども向け施設「京王あそびの森 HUGHUG」の記者発表にて、同社は「子育て世代」にターゲットを定め、この世代の多くの人たちに京王沿線に住んでもらいたいといった話をしていた。「選ばれる沿線」という言葉が使われ、企業戦略上の必要性を説いていた。
「京王あそびの森 HUGHUG」は多摩動物公園駅の近くにあり、「京王れーるランド」や都の施設である「多摩動物公園」とあわせて、子どもたちが行きたくなるような施設とセットになっている。京王グループではこのエリアを「キッズパークたまどう」と位置付け、親子連れに楽しんでもらい、愛着を育んでもらうことで、沿線への定着を促すとしている。
東急グループも、「子育て世代」に向けて生活サービス事業を展開している。子会社の「東急キッズベースキャンプ」は、学童保育や駅に近い保育園などを運営している。また「東急スポーツシステム」では、子ども向けのスポーツ教室なども重要な事業として位置付けている。当然ながら東急グループにも、子どもが楽しめる「電車とバスの博物館」といった施設がある。
近年、相鉄グループも「選ばれる沿線」を打ち出してきたが、今後どんな「子育て世代」向け事業を展開するのか気になるところだ。
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