競合は無印とニトリか 「イオン・キャンドゥ」タッグで再編進む100円ショップ業界の今:小売・流通アナリストの視点(1/4 ページ)
100円ショップ業界3位のキャンドゥが、イオンとの資本提携を発表したが、キャンドゥの狙いはどこにあるのか。もはや「100円」の商品だけでなく、さまざまな商品を扱う同業界の今を探る。
100円ショップ業界の売り上げ第3位であるキャンドゥが、イオングループと資本提携することになった。キャンドゥの業績は増収基調で利益も相応に確保していたのだが、業界大手企業の売上推移をみれば、その伸び悩みは明らかだ。
次の図表は上位4社であるダイソー(大創産業)、セリア、キャンドゥ、ワッツの売上推移を示したものだ。1位ダイソーと2位セリアが順調に売り上げを伸ばしているのに対して、3位キャンドゥ、4位ワッツが年々差をつけられてきたということが分かる。
共同出店トレンドでジリ貧だったキャンドゥ
コロナ禍による巣ごもり需要によって、100円ショップ業界に追い風が吹いていた2020年度の売上増加率は、ダイソー「4.9%」、セリア「10.6%」に対して、キャンドゥは「2.5%」、ワッツが「2.7%」と、差が開くばかりという結果となっている。この直接的な原因は、新店の出店場所確保の力の差にある。
100円ショップは、かつてロードサイドに単独店舗を出店するという時代もあったが、今では、ショッピングモールのテナント、またはスーパーなどとの共同出店といった形が中心で、他業態とのコラボによる集客が最適であるとされている。試しにキャンドゥが10月に出店した立地を見てみると、全ての新店が、ドラッグストア、スーパー、ホームセンター、ショッピングモールなどの商業施設のテナントとしての出店だった。
こうなると、大家である他業態企業から商品力や集客力、ブランド力などを評価されるか、もしくは、高い賃料を払わなければ、出店場所を確保することはできない。寡占化が進んだ100円ショップ業界ではダイソー、セリアのブランド力、商品力が下位を圧倒する状況であるため、キャンドゥなどの下位企業は高めの賃料負担を強いられることになり、出店を加速して追い付こうとすれば収益が悪化する悪循環に陥っていたといえる。このまま座していればキャンドゥには勝ち目はなかったのであり、今回のイオンとの提携は窮余の一策といってもいいのだろう。
ご存じの通り、国内流通最大手グループであるイオングループには、全国にGMS(総合スーパー)、食品スーパー、ドラッグストア、ディスカウントストアを合計して1万店舗超の巨大な店舗網がある。また、M&Aによってグループを拡張してきたイオンの歴史を考えれば、これからもそのグループ企業は増えていくだろう。
この店舗網に共同店舗として出店できれば、机上の空論ではあるが、3600店以上を誇る最大手ダイソーを上回る店舗網を構築できる可能性はある、ということだ。当然ながら、今イオングループのテナントにはライバル企業が既に出店していることも多く、すぐに入れ替えなどということはあり得ない。しかし、キャンドゥは51%をメドにイオン側の出資を受け入れる予定であり、グループとしての収益拡大を考えれば、キャンドゥを成長させることが合理的なのは言うまでもないことだ。
キャンドゥとしては今回の資本提携を機に、グループのさまざまな経営資源も活用しつつ、イオングループに収益をもたらす存在であることを証明すれば、今は逆転不可能とも見えるダイソー、セリアと互角以上に戦える存在になることも可能になった。
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