競合は無印とニトリか 「イオン・キャンドゥ」タッグで再編進む100円ショップ業界の今:小売・流通アナリストの視点(2/4 ページ)
100円ショップ業界3位のキャンドゥが、イオンとの資本提携を発表したが、キャンドゥの狙いはどこにあるのか。もはや「100円」の商品だけでなく、さまざまな商品を扱う同業界の今を探る。
業界の歴史を振り返れば、ふた昔前の100円ショップ業界は、王者ダイソーとその他大勢といったプレイヤー構成になっていて、00年度の時点でダイソーは売り上げ2020億円、既に小売業界でも43位の大手企業となっていたのに対して、2位キャンドゥ218億円、3位セリア(当時は山洋エージェンシー)207億円であり、2位以下は10分の1以下程度の存在でしかなかった。
その後、業界内の淘汰が進むなかで、ダイソーの圧倒的優位は揺るがないながらも、セリア、キャンドゥ、ワッツが生き残り、現在では4社寡占体制のなかで最終決戦が進行中といった状況となっている。特にセリアは対ダイソー比で売り上げが10%から38%へとその存在感を拡大し、ダイソーを追走している。4強時代から2強時代への移行期とも見えるこの10年を経て、かつての2位キャンドゥとしては、このまま見過ごすわけにはいかなかったのであろう。
「宝探し」を強みに成長したダイソー
1990年代に急成長して100円ショップ業界を作ったダイソーは、もともと移動販売車でスーパーの店前などに乗り付け、便利グッズを催事販売する業者だった。売れすぎて値札張りが間に合わなかったため、全部一律100円で売ってしまったことにルーツがある、というエピソードを知っている人も多いかもしれない。これが大ウケし、いくつものスーパーからテナント出店依頼があって、固定店舗のダイソーがスタートしたのだという。
ダイソーは多種多様な商品を価格100円均一で取りそろえ、うず高く積み上げるいわゆる「圧縮陳列」によって、「宝探し空間」を作り出していた。イメージ的には、ドン・キホーテ売り場空間に近いディスカウント訴求の陳列手法といえる。また、売り切れ御免の熾烈な商品入れ替えが、結果として売場の鮮度につながり、ダイソーは100円ショップという業態を世に広く浸透させた。
こうした店の雰囲気を守るため、ダイソーでは長い間、POSによる販売管理をあえて行わない、という方針であった。全部100円という値付けであるため、個数を数えてレジ処理すればいいこともあり、POS投資にかけるコストを省いて、出店や商品開発に投入して、成長スピードを上げたということなのだが、理由はそれだけではない。POSデータを基に、過去の売れ筋だけに絞り、死筋を排除していくやり方は、「宝探し」の楽しさや売場の鮮度を損なうと考え、あえてPOSによるデータ依存を避けたともいわれている。こうした独特のやり方で、ダイソーはまたたく間に有力小売業にのし上がったのである。
00年代前半から、そのダイソーの手法に真っ向から挑戦したのがセリアだった。
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