マンションに自転車店が駆けつけて、1日26万円も売れている理由:週末に「へえ」な話(2/4 ページ)
都市部のオフィスにキッチンカーが戻ってきた。カレーやハンバーなどを購入するためにビジネスパーソンが並んでいるわけだが、気になる店を見つけた。自転車の修理・点検である。移動営業をしてもうかっているのかどうか、気になったので担当者に話を聞いたところ……。
有明のマンションで営業したところ
その結果を受け、首都圏でも同じことをやってみることに。世田谷区の馬事公苑で始めたところ、フラリと立ち寄るお客もちらほら。認知度を高めて多くの人に来てもらうために、タイヤの空気入れ、ブレーキのチェック、油さしの3つを無料にしたところ、少しずつ依頼が増えていった。
その後、有明にある大型マンションでも出店したところ、意外なニーズがあることが分かってきたのだ。「点検」である。個人的な話になるが、筆者は自分の自転車を点検してもらったことがない。自転車店に足を運ぶことといえば、タイヤの空気を入れに行ったり、パンクをしたら修理に行ったり。だいたいそのくらいの理由でしか行かないのだが、マンションの住民は修理だけでなく、点検を依頼するケースが目立ったのだ。
マンションは海に近いところに建っているので、「自転車がサビるのかな。だから点検してもらう人が多いのかも」と思っていたが、どうやらそれだけではないらしい。理由を尋ねたところ「マンションの近くに自転車店がないんですよね。遠くの店で購入したものの、その後メンテナンスをしていない人が多かったんです」(今西さん)
自転車が壊れて修理をするとなった場合、数キロ先の店まで運ばなければいけない。実際、持ち込んだものの、「ウチでは修理を受け付けていなくて」と断られたケースも。受け付けてくれたものの、「できあがりは、明日ですね」と言われるケースもあった。となると、帰りは歩いて、翌日も歩いて取りに行かなければいけない。そうなっては大変なので、事前に点検を依頼する人もいるそうだ。
その昔、たくさんの人が住んでいる街には、家の近所に自転車店があった。しかし、店主の高齢化や後継者不足だったり、大型チェーン店が増えてきたり。こうした背景もあって、閉店するところが増えているようだ。「自転車の病院」がまとめたデータによると、2009年に自転車店は1万9479あったが、17年には1万4758に。
家の近所に自転車店がない――。このことに不満を感じている人は多かったようで、イーチャリティ社がマンションに駆けつけて修理・点検を行ったところ、「ワタシもワタシも」「ウチもウチも」といった感じで、多くの人から依頼があったのだ。
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