マンションに自転車店が駆けつけて、1日26万円も売れている理由:週末に「へえ」な話(3/4 ページ)
都市部のオフィスにキッチンカーが戻ってきた。カレーやハンバーなどを購入するためにビジネスパーソンが並んでいるわけだが、気になる店を見つけた。自転車の修理・点検である。移動営業をしてもうかっているのかどうか、気になったので担当者に話を聞いたところ……。
青砥のマンションで自転車が売れた
マンションでの成功事例は有明だけでなく、葛飾区の青砥にある物件でも結果が出ている。有明のときと同じように、ここでも修理や点検を依頼するお客が多かったわけだが、試験的に自転車を販売したところ、1日の売り上げが26万円を超える日もあったのだ。
「はいはい。そこのマンションの近くにも自転車店がないパターンね。だから売れたんでしょ」と想像されたかもしれないが、理由はそれだけではない。このマンションの駐輪場には、たくさんの自転車であふれていたのだ。
その原因を調べてみると、自転車を購入したけれども、古くなったので使わなくなった。使わなくなった自転車を処分せずに、そのままにしているケースがあったのだ。そうすると、新しい自転車を購入したいけれど、置く場所がないといった“駐輪難民”の問題が生まれていたのだ。
こうした事情を知ったイーチャリティ社は、どのような手を打ったのだろうか。本業は中古の電動自転車を販売することである。中古を買い取るノウハウはあるので、マンションで使われていない自転車を次々に買い取っていったのだ(モノによっては無料)。自転車を放置していた人も、そこにスペースが生まれると、「じゃあ、一台買ってみるか」となって、移動販売で売れるケースが出てきた。
有明と青砥の事例を紹介すると、「このビジネスは順風満帆だなあ」と受け取れたかもしれないが、課題もある。晴れの日にはお客がやって来るが、雨の日は少なくなる。また、これから寒くなってくると、外出する人が減る。そうすると、移動での営業に影響が出てくるかもしれない。さらに、現在は週一ペースでマンションなどを回っているが、パンや野菜を販売しているわけではない。毎日のように購入するモノではないので、お客が“一周”すれば売り上げが減少するのではないかといった不安も残っているのだ。
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