【後編】分からないことだらけの「インボイス制度」で経理業務はどう変わる? Peppolの基本も含めて徹底解説:対談で学ぶ電帳法とインボイス(3/4 ページ)
TOMAコンサルタンツグループの持木健太氏とSansanの柴野亮氏の対談企画、後編テーマは、2023年10月に導入を控える「インボイス制度」。そもそもインボイス制度とは何なのか、なぜ導入されることになったのかといった基本に加えて、対応するために準備すべきことまで広く話を聞いた。
TOMA 持木:確認作業が出てきますね。
Sansan 柴野:そうです。受領した登録番号が本当に正しいのか、存在するのかチェックしなければいけません。本当は課税事業者ではない取引先相手に、消費税を支払っていた場合、これは仕入れ側の責任になるんですよ。免税事業者が課税事業者のフリをして、消費税を着服する可能性を考えないといけないんです。
そのため、適格請求書に記載されている登録番号を一つ一つ、全て確認する必要があります。
――面倒くさいですね……
Sansan 柴野:非常に面倒くさいです。登録番号は、「国税庁インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイト」で公表されますから、“なりすまし”の可能性もある。番号と会社名が一致しているか、それは実際に取引した会社で間違いないのか調べる作業を人手で行うのはかなりの労力です。
TOMA 持木:電帳法に対応して、電子で請求書を受領・管理すれば、登録番号の確認作業にかかる負担も軽減されます。インボイス制度と電帳法にはそういったつながりがあります。
Sansanさんのクラウド請求書受領サービス「Bill One」では、登録番号の参照も自動で行えるんですよね。
Sansan 柴野:はい。Bill Oneでは、取引先から届く「紙」の請求書の受領、スキャン、データ化までお客さまに代わって行います(詳細は前編を参照)。このとき、「紙」の請求書上にある情報はAI-OCRとオペレーターにより、99.9%の精度でデータ化できるのですが、さらに公表サイトを自動的に参照することで、書かれている登録番号が適切かどうかの確認まで一気通貫で行います。
TOMA 持木:請求書を受け取る側は、相手の会社名や氏名、取引年月日、取引内容、金額などを全て帳簿に記録するという業務もありますが、Bill Oneは外部ツールとの連携機能にも対応し、必要な情報を帳簿へ自動反映してくれますね。
Sansan 柴野:今までにはなかった負荷を軽減するためにも、対応ソリューションはうまく活用していただきたいですね。
電子インボイスと同義ではない? 「Peppol」とはナニモノか
――「電子インボイス」「Peppol」というワードも最近ではよく聞きますが、インボイス制度との違い、関係性を教えてください
TOMA 持木:インボイス制度は義務化ですが、発行形態は「紙」でも電子でもいいんです。その電子で発行受領する適格請求書が、電子インボイスと呼ばれています。
Sansan 柴野:電帳法の要件がここまで緩和され、電子取引による請求書の電子保存が義務化になったのは、政府がデジタル化を推進したいという事情があったと思うのですが、インボイス制度自体は「電子で進めましょう」というわけでもないんですよね。適切な税収を実現したいだけですから。
TOMA 持木:電子インボイスは、効率化のための手段ですからね。
Sansan 柴野:そう、インボイス制度と電子インボイスって、実は異なる趣旨なんですよ。インボイス制度では税収の形を正したい、でもそれだけでは世の中に負担を与えるだけ。だからそもそもの仕組みとして「電子で請求書をやり取りするとすごく便利ですよ」という文脈で、電子インボイスのPeppolという話が出てくるわけです。
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