高学歴でも「頭がいい」とはいえない 「仕事ができない人」に欠けている要素:対人スキルが重要(3/4 ページ)
職場には「仕事ができない人」が1人や2人いるものだ。そもそも「仕事ができない」とはどういう状態なのか。著者の分析によると……。
AnswerとSolutionの違い
前の段落で「解答」という言葉を使ったが、受験勉強での「解答」と、実社会で求められるそれは、全く異なる意味合いを持っている。受験勉強において、我々は膨大な知識を詰め込み、その定着を図るためにやはり膨大な量の問題集をこなす。
問題集の「問題」とは、英語でいえばQuizとかQuestionになる。そして解答はAnswerだ。正解は一つしかない。しかし、世の中にあふれている「問題」は、ProblemやChallengeであり、それに対するAnswerはない。求められるのは、Solutionだ。導いたSolutionも、価値観が多様化している現代において、万人に適合することはまずない。必ず反対者が出てくる。それに対してインターパーソナルスキルを用いつつ、相手にInfluenceを与えて解決していくことができるのが「仕事のできる人」なのだ。
相手にInfluenceを与えるということは、相手を納得させることを意味する。Challengeに対面している相手に対し、提案したSolutionで「なるほどね」とストンと腹落ちさせられるかということでもある。悩んでいる相手に長い話をしても一層混乱させる。だから簡潔で印象に残る提案をしたいものである。
コンサルタントや投資銀行の人間がよく使う言葉に「エレベーターピッチ」がある。M&Aの提案をすべく、某企業の社長にアポを取った。100ページにもわたる提案書を持参したが、アポの時間になって現れた社長が急に面談できなくなったと言い出した。「岸田首相に急に呼ばれてね。今から官邸にいくんだよ。歩きながらで悪いが君の話を聞こうじゃないか」――。最上階の社長室から地下駐車場までエレベーターに乗っている間に行う提案。これがエレベーターピッチだ。時間にしてわずか1分、伝えられる項目はブレットポイントでせいぜい3点、強い印象を与えるためには数字を効果的に使うことも必要だ。ネット上には「上手な報告書の書き方」「コミュ力Up法」などのハウツーがあふれているが、エレベーターピッチができる人間は、コミュニケーション能力に関しての最上級者といえるだろう。
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