経費精算、承認レスで320時間→23時間に コンカーが不正検知機能強化(1/3 ページ)
大企業向け経費精算システム大手のコンカーは12月7日、新たに日本IBMおよびデロイト トーマツとの協業を発表した。目指すのは、「経費精算がなくても仕事が回る世界」(コンカーの三村真宗社長)だ。
大企業向け経費精算システム大手のコンカーは12月7日、日本IBMおよびデロイト トーマツとの協業を発表した。経費精算の不正検知システムを組み合わせ、「経費精算がなくても仕事が回る世界」(コンカーの三村真宗社長)を目指す。
経費精算は「最も付加価値のない作業」だと三村氏は説く。どんなビジネスパーソンにとっても、使った経費を入力し申請する経費精算は手間であり仕方なくやっている。また、それを承認する上長や経理にとっても、できればなくなってほしい仕事だ。
コンカーは、キャッシュレス、入力レス、ペーパーレスという3つの“レス”を推進し、経費精算をなくす取り組みを進めてきた。現金を使わず法人カードなどキャッシュレスになれば、コンカーのシステムは自動で内容を取り込み、経費入力の手間がなくなる。紙の領収書を添付して提出するという面倒な作業も、2022年1月に改正される電子帳簿保存法によって要件が大幅に緩和され、今後はスマホで領収書を撮影すれば原本を捨ててしまうことも可能になる。
ところが、経費承認についてはなかなかなくすことが難しかった。「不正検知の仕組みがミッシングピース」(三村氏)だったからだ。
このたび、日本IBMとデロイト トーマツのサービスとコンカーのシステムを連携させることで、従業員の不正な経費申請を自動的にあぶり出せるようになる。それに伴って、これまで人の手で行っていた承認作業をなくそうというのだ。
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