落合陽一が明かす「研究開発型ベンチャーの課題」 スタートアップで最も重視すべき戦略とは:人類と計算機の共生(2/3 ページ)
研究開発型ベンチャー企業としての経営課題とは何か。落合陽一さんに話を聞いた。
面白い仕事だと思わせられるかが採用の肝
――他の研究開発型ベンチャー企業の経営者に話を聞くと、ここ数年でお金は集まるようにはなったという声を聞く一方で、今度は人材が集まらないという課題も聞きます。ピクシーダストテクノロジーズではどうでしょうか。
人材はとてもありがたいことに、当社は非常に優秀なエンジニアに恵まれています。それはひとえにわれわれが技術ベンチャーとして、非常に多くのお客さまに恵まれているのと、大学とのつながりが強いという強みが挙げられると思います。当社に、僕の筑波大の研究室から新卒で入る人もいました。
――人材獲得にはコツのようなものはあるのでしょうか?
スタートアップのエコシステムの中で、どうやったら自分たちの専門性を生かせて、面白い仕事だと対象者に分かってもらうのがとても重要です。
特に当社が手掛けている事業は分野が幅広いのが特徴です。毛生えからゼネコンまで幅広い分野を手掛けています。他にも農業から介護に至るまでまったく違う多くの事業に取り組んでいるように見えるのですが、実はそれらは波動制御技術でつながっています。どうやったらエンジニアにとって働きがいがあって、働く楽しさがある環境を作るかが重要なことだと考えています。
――大学など教育機関との結び付きが強い強みもあり、採用にとても力を入れている様子がうかがえます。
実際に、採用は非常に強化しています。採用の人材・組織コンサルタント(T&O)を外部のパートナー含めて連携しています。エンジニアを採用することはとにかく重要です。もちろん事業開発も重要なのですが、人材獲得がベンチャーにとっては最も大事だと思いますね。人材獲得と引っ越し、この2つを研究開発型ベンチャーとして重要視しています。
――引っ越しですか?
次々と優秀な人材を確保して、事業の拡大を進めていくのがベンチャーとして要になってきます。そうなってくると、社員数や事業規模が拡大するに伴い必然的にオフィスの引っ越しが求められます。このオフィスの拡大スピードも実は重要ですね。
――なるほど、そういうことなんですね。今後の事業開発で、例えば今回の波動制御技術を今後こう生かしていきたいというような考えはありますか。
われわれは「人類と計算機の共生ソフトウェア基盤を構築する」というビジョンを掲げていて、実際にその世界は実現に向かっていると思います。例えば、宇宙飛行士が宇宙に行くと、筋力維持のための筋力トレーニングが不可欠なわけですが、この筋トレだって超音波を当てるだけで済むようになるといいですよね。宇宙分野になると、非接触で力を使う機会が増えるのですが、ここでも超音波は重要になってきますね。
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