くら寿司、新事業戦略を発表 「Z世代」への訴求や「海外100店舗体制」を目指す:ウィズコロナの成長戦略(2/3 ページ)
くら寿司は2021年10月期の連結決算と、新事業戦略を発表した。国内ではZ世代向けの施策を強化するとともに、海外での出店を加速する。
新事業戦略を発表
くら寿司は12月8日に、新たな事業戦略を発表した。コンセプトとして「安くておいしいお寿司を永続的に提供しサステナブルな経営を目指す」を掲げた。コンセプト実現のために、22年10月期には6つのチャレンジをするという。
1点目は「新たなユーザー層獲得」だ。同社は、10〜20代の若者がコロナ禍でアルバイトのシフトが減るなどして収入が特に落ち込んでいる一方、飲食への消費マインドが高いと分析。コロナ収束後はリベンジ消費が見込めるとしている。そこで、Z世代(1990年後半から2000年代生まれ)を新たなターゲットとする。具体的には、この世代向けの店舗を12月9日、東京・原宿にオープンする。同店舗では、クレープマシーンを導入。クレープなどここでしか食べられないスイーツを提供する。また、全国の店舗ではスイーツを強化する。これ以外にも、さまざまな施策を打ち出していく予定だ。
Z世代向けの新店舗は、店舗面積が通常の2倍となる212坪、座席数は通常の1.2倍となる245席とした。プロデュースするのは、有名クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏だ。同店舗には、くら寿司初となる個室も用意した。さらに、SNSスタンドを設置してシェアしたくなる仕掛けも盛り込んだ。装飾やユニフォームにもこだわり「世界一映える寿司屋」を演出する。
2点目は「お寿司の安定供給」だ。2013年以降、食料品全体の価格が高騰している。消費者物価指数を見ると、生鮮魚介類の価格は10年から19年にかけて1.3倍となっている。また、マグロ、イクラ、カニ、ウニなどの輸入水産物も高騰しているという。背景にあるのは、世界的な魚食ブームと国内水産事業者の人手不足だと同社は分析。そこで、新たに水産専門会社を立ち上げるとともに、漁業事業者を支援し、供給安定化を図る。
関連記事
- レゴランドってそんなにひどいの? 家族を連れて行ってみた
「隣接する商業施設からテナントが撤退」「水筒の持ち込み禁止」などのニュースで注目を浴びているレゴランド。ネット上では酷評する声もあるが、実際はどうなのだろうか。記者が家族を連れて遊びに行ってみた。 - スシローとくら寿司 「価格帯」と「シャリ」から見えた戦略の“決定的”な違いとは
大手回転寿司チェーンのスシローとくら寿司。標準的な寿司の重さはほぼ一緒。しかし、価格とシャリの違いから戦略の違いが見えてきた。 - 「100円×3個=301円」問題でセブンが公式に謝罪 見習うべきは「イオン方式」か
「税込100円×3個=301円」問題で混乱が起きたセブン。お客が困惑した根本原因は事前告知が不足していたことだ。ただ、イオンが採用する価格表記を採用する道もあったかもしれない。 - スーパーの「アピタ」と「ピアゴ」がどんどん“ドンキ化” 一方で住民から不安の声も
スーパーの「アピタ」と「ピアゴ」が“ドンキ化”している。運営会社は2022年をめどに、約100店舗を業態転換する方針だ。その一方で、生まれ変わる予定のアピタ岐阜店の周辺住民からは不安の声が出ている。 - スシロー、イクラ1皿「100円」→「150円」の衝撃 価格高騰にどう立ち向かうのか
スシローがイクラを1皿税別100円から150円に値上げした。漁獲高減少や世界的な需要増が原因だ。世界的な価格高騰に大手回転寿司チェーンはどう立ち向かうのか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.