美大生の進路はどうなっている? キャリアの実態:人材バリュー(3/4 ページ)
世間の人は美大生にどんなイメージを持っているでしょうか? 芸術に何の素養も持たない私ですが、秋田県にある秋田公立美術大学において、美大生のキャリア教育を担当してきました。 結論から言えば……。
美大生と就活
クリエイティブやアート産業以外の一般企業において、美大生は採用の対象外なのでしょうか。私は秋田美大のキャリア講座で、「会社員になること」とは何かを教えました。また芸術や美術は趣味なのか仕事なのかを問いかけました。
芸術を教える先生方からは怒られるかと思いましたが、一度も正式には怒られたことはありません。美大を出ただけで作家になれる人というのは例外であり、デザイナーやイラストレーターという仕事そのものが限り無く安定感のない自由業であり、普通の就活のようなプロセスはありません。
美大生であっても、工芸技術の会社やクリエイティブワークの職務でも、ES(エントリーシート)&面接という、就活テンプレで通常は採用されます。その普通就活フォーマットに合わせられなければ、まず社会人となるチャンスを得るのも厳しいことでしょう。美大生も就活は必須なのです。
美大生という人材バリュー
一方で、美大生を雇うメリットは何でしょう? 経団連調査によれば、企業が採用学生に求める能力のトップは過去20年くらいずっと「コミュニケーション能力」です。私は美大生の指導や個人面談を通じて、美大生のコミュニケーション能力をあえて訴えたいと思います。
ペラペラしゃべるだけがコミュ力ではありません。何らかの意思疎通において、意図や目的、感情を表現することがコミュニケーションにおいても欠かせません。文章を使ったコミュニケーションではなく、作品を通しての表現こそ、私は美大生最大の魅力と感じます。美大生たちが日々磨いているのは、どうすれば「それ」を表現できるかです。
素人の私から見ればすごい凝った絵やリアルな彫刻などの作品はそれだけですごいと思うのですが、本当に優秀な芸術作品はそんな見た目の美しさ以上に情念というか、あふれる感情を伝えてきます。文字情報ではない表現能力こそ、美大生の武器だと感じます。偏差値的に優秀な学生は「正解発見能力」に優れていることは言を待ちません。一方、美大生は「表現すること」を徹底して訓練していると感じます。
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