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「前任者がやらかしたことを検証してはいけない」 なぜ日本の会社でタブーなのかスピン経済の歩き方(2/7 ページ)

「前任者がやったことを細かく検証してはいけない」――。多くの日本企業でこのような慣習があるが、なぜ責任の所在をうやむやにするのだろうか。背景を探っていくと……。

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オトナの事情以上に

 なぜこうなってしまうのか。今や最大派閥を率いるキングメーカー、安倍さんに逆らうのは自殺行為だからと思うかもしれないが、そのようなオトナの事情以上に、これは「日本文化」であることが大きい。

 組織でがんばるサラリーマンの方ならばなんとなく分かっていただけるだろうが、日本社会では基本的に「前任者がやらかしたことを検証する」ことはタブーとなっている。


「前任者がやらかしたことを検証する」ことはタブー(提供:ゲッティイメージズ)

 前任者がどんなムチャクチャな決断して、組織に損害を招いていたとしても、モラルのない非常識な行為をしても、後任者がそれを深く、細かいところまで検証してはいけない。では、そういう問題が起きたとき、どうするかというと「無関係の人」にするのだ。更迭や左遷という処分などで、一刻も早く問題から遠ざける。そうなれば、前任者について、ああだこうだと評価や検証をしなくて済む。

 パワハラを告発された人や、不祥事を起こした人が閑職に飛ばされた後、しばらくすると、しれっとした顔で出世コースに舞い戻るのは、前任者のやらかしを後任者がうやむやにすることで、キャリアの汚点をリセットしてあげる、という日本独特の「うやむやロンダリング」ともいう手法が関係している。

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